パワードコム、予備心線を活用した安価な回線二重化サービス

パワードコムは、光ファイバの予備心線を活用して安価にネットワークの冗長化を実現する「デュアルアクセスサービス」を提供する。

» 2005年08月24日 10時10分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 パワードコムは8月23日、パワードコム局舎内のエッジスイッチから顧客事業所内の回線終端装置(DSU)までを二重化して信頼性を高める「デュアルアクセスサービス」を発表した。9月8日より、広域イーサネットサービスの「Powered Ethernet」やIP-VPNサービスの「PENeX」の顧客向けに、オプションの形で提供する。

 コネクティビティの信頼性を確保する方法としては、キャリアも含めた二重化(キャリアダイバーシティ)のほか、フレッツサービスを活用してアクセス回線を二重化する方法などがある。

 しかしキャリアダイバーシティの場合は回線を2本契約するためコストが倍にかさむうえ、ルーティングプロトコルの設定が複雑化するなどの課題があった。このため、バックアップの重要性は認識しながらも導入に二の足を踏む企業が多かったという。一方、フレッツサービスの場合は、バックアップ切り替え時の回線品質に懸念があった。

 パワードコムのデュアルアクセスサービスは、この2つの選択肢が抱える問題点を解決する、新しいバックアップサービスだと同社マーケティング・商品統括本部広域イーサネット商品企画部長の安達徹也氏は述べた。「コストを取るか品質を取るかの二者択一ではなく、同品質のバックアップを安価に導入できる」(安達氏)。

 デュアルアクセスサービスでは、キャリア側コアスイッチだけでなく、エッジスイッチおよび光ファイバについても二重化し、「宅内も含めて冗長化エリアを広げるもの」(安達氏)。ただし、2本の光ケーブルを引き込むのではなく、既に引き込まれている光ファイバのうち予備として使われていない心線を利用することで、コストを抑えた。ただ、主回線と予備回線を同時に使用してのロードバランスなどはできない。

 パワードコムはこの仕組みを実現するため、名前は明らかにしていないがメーカーと共同で、心線の自動切り替えを行うための独自の機器「回線切り替え装置」(SPU:Select Port Unit)を開発した。

 SPUはDSUとルータの間に設置し、回線に障害が発見された場合は自動的にレイヤ2レベルで切り替えを行う。回線自体は数秒で、経路情報(FDB)の書き換えも含めても最大10分で切り替えを実施できるということだ。また、構造が単純なため、機器自体の信頼度はDSUと同程度に高いという。

 デュアルアクセスサービスの料金は、Powered Ethernet/PENexの回線料金の20%増。パワードコムは同サービスの開始に合わせてSLAも改訂し、故障回復時間について「10分以内」を保証することも明らかにしている。

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