Intel、Conroeは2006年のリリース時から企業用PC向けとなる可能性も

IntelはConroeの2006年下半期のリリース時までに、同プロセッサを企業のITコスト削減支援プログラムSIPPに組み込める見通しという。(IDG)

» 2005年08月25日 17時20分 公開
[IDG Japan]
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 米Intelは現在開発中のデュアルコアデスクトップ用プロセッサConroeについて、企業顧客向けの推奨コンフィギュレーションに組み込むタイミングを早めるかもしれない。同プロセッサでは大幅な性能向上が見込まれるためだ、とIntel幹部は8月24日、語っている。

 Intelの最高経営責任者(CEO)ポール・オッテリーニ氏は23日、Conroeは同社の新しいチップ製造アーキテクチャをベースとする初めてのデスクトップ用プロセッサになると語った。またデジタルオフィスプラットフォーム担当ジェネラルマネジャーのグレゴリー・ブライアント氏によれば、IntelはConroeの2006年下半期のリリース時までに、IT管理者にソフトウェアイメージの変更を強いることなく、同プロセッサをStable Image Platform Program(SIPP)に組み込める見通しという。

 ブライアント氏によれば、企業のITコスト削減を支援するためのSIPPは、ネットワーク全体にわたって複数のソフトウェアイメージを保守することに閉口しているIT管理者に歓迎されている。ソフトウェアイメージとは、ユーザーのPC上に存在するコードのスナップショットのこと。企業のIT部門はソフトウェアイメージを使って、新しいPCにも統一されたソフトウェアセットが備えらえるようにしている。

 だがIntelがチップセットやプロセッサ技術を変更するたびに、新しいドライバが必要となり、新しいイメージが生成される。ほとんどのIT部門は新しいPCを一部の従業員にのみ、一定の期間で展開するため、IT管理者は過去何年間かのPCの導入による複数のソフトウェアイメージや旧式の技術を備えるネットワークを管理する羽目に陥りかねない。

 こうした状況を受けて、IntelはSIPPを考案し、IT管理者がProfessional Business Platformの要素としてリストされたPCコンフィギュレーションを購入した場合には、そのコンフィギュレーションに含まれる基底のハードウェアやドライバには少なくとも12カ月間は変更のないようにした。

 Intelは通常、SIPP向けには、しばらく前から市場に出回っている製品を推奨している。そうすれば、IT管理者にはそうしたプロセッサを搭載するPCを評価するための時間が十分に与えられるからだ、とブライアント氏。Intelは今年、Professional Business Platformの要素として、新たに発表したPentium Dデュアルコアプロセッサの代わりに、シングルコアのPentium 4プロセッサを推奨した(5月19日の記事参照)

 ブライアント氏によれば、2006年のビジネスプラットフォーム向けに指定されるプロセッサはPreslerとなる。PreslerはPentium Dの1バージョンだが、ほかとは異なるパッケージで提供される。リリースは2006年第1四半期に予定されており、製造にはこれまでのバージョンよりも新しい最新技術が用いられる予定だ。

 だが2006年下半期にリリースが予定されているConroeは、Preslerよりも性能が倍増すると見られている。Conroeは23日に発表されたIntelの新しいアーキテクチャを採用する(8月24日の記事参照)。このアーキテクチャでは、クロック速度よりも省電力に重きが置かれているという(これまでの慣例とは異なり、Intelはこの新しいアーキテクチャにはコードネームを付けていない)。

 ブライアント氏によれば、ConroeはPreslerと比べて性能が大幅に強化されるため、Intelは予定よりも早く、2006年下半期のリリース時にConroeプロセッサをビジネスPC戦略の中心に据えることになるかもしれない。Preslerとは異なる設計を使うものの、IntelはConroeベースのPC向けのドライバのリリースを管理することによって、Conroeがソフトウェアイメージを損なわないよう徹底できる。普通ならば、2007年初頭まではPreslerがビジネスPCプロセッサの推奨プロセッサとして留まるだろうが、Conroeはそうした見方を変えることになるかもしれない。

 ブライアント氏によれば、ConroeはPresler向けに設計されたチップセットに対応し、仮想化やIntelのActive Management Technology(AMT)などの新技術を直ちに活用できることになる。IT管理者はAMTにより、ネットワークに接続されたPCの電源がオフのときでも、ソフトウェアのアップデートやパッチをそうしたPCに送信できる。

 ブライアント氏によれば、間違いなくIntelはコンシューマー向けのデスクトップPCのほか、設計エンジニアやビデオ編集者といったパワーユーザー向けのビジネスPC用にConroeを推奨することになる。ただし、SIPPの方針に従いつつ、性能の大幅な強化が提供されるということであれば、ConroeプロセッサはメインストリームのビジネスPC顧客向けの優先リストに昇格することになるかもしれない、と同氏は語っている。

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