検索戦争――Desktop 2でMSに挑むGoogle

Google Desktop 2などのデスクトップ検索ツールは、企業ユーザーのデファクトスタンダードとなるかもしれない。(IDG)

» 2005年08月30日 15時34分 公開
[IDG Japan]
IDG

 デスクトップをめぐる新たな戦いが進行中だ。といっても、昔ながらのLinux対WindowsやMac対Windowsといった、OSをめぐる難解な問題にシステム管理者と熱狂的ファンが病みつきで、それ以外の人間は死ぬほど退屈な戦いとは違う。今回の縄張り争いは、エンドユーザーにこそ重要なものだ。だがそのことは、IT部門にとって必ずしも最良の知らせではない。

 この新たなデスクトップ争奪戦で、直近の一撃はGoogleによって放たれた。同社は先週、Windows PC用の検索ソフトDesktop 2とインスタントメッセージング(IM)クライアントソフトのGoogle Talkをリリース。これらと無料メールサービスのGmailの組み合わせで、Googleは今、Microsoft城の門を破ろうとし、長きにわたるMicrosoftのデスクトップ支配を、実際に脅かすとまではいかないにせよ、打ち破るべく戦線布告している。

 無論、GoogleはWindowsに取って代わろうというのではない。実際のところ、Googleはユーザーが望む、よりハイレベルなサービスの提供にWindowsを存分に活用しようとしている。それらは、いつの日かGoogleの収入源となるであろうサービスだ。そしてそう、Microsoftにとっては、まさに目障りなサービスなのだ。

 Desktop 2は魅力的だ。1回の検索で、個々のデスクトップマシンにしかない情報と、Web上の一連の情報を同時に検索対象にでき、情報労働者の作業効率を向上させる。検索結果は比較的すっきりした1つのウィンドウに表示される。シンプルだが、驚くほど強力だ。

 Desktop 2にはユーザーのPC画面の端に表示される縦長のウィンドウ、Sidebarがある。この段組になったウィンドウに、RSSフィード、ニュース記事、GmailとOutlookに届く電子メール、天気予報などの動的なコンテンツを表示できる。良くできている。

 Desktop 2がGoogleのDesktop Search for Enterpriseと混同されることはないだろう。後者のエンタープライズ版にはSidebarはないが、Desktop 2が検索対象とするものすべてに加え、Lotus Notesのコンテンツを検索できる。エンタープライズ版にはまた、検索対象としてインデックス化することを禁止するファイルを定義したり、社内の全エンドユーザーマシン上のインデックスを強制的に暗号化するなどの、管理者向けの重要なツールが備わっている。Googleでは企業のIT管理者に、こうしたファイル定義や強制暗号化を奨励している。

 個人でも、コンシューマー向けのDesktop 2と同じようにエンタープライズ版をダウンロードし、自分のマシンで使うことができる。わたしは短期間だが両方のツールを使ってみた結論として、これら、もしくはこれに類するツールは企業のマシンのデファクトになるだろうと思った。便利で使いやすいからだ。

 だがIT部門の見地からは、Desktop 2とDesktop Search for Enterpriseは、最も無害な場合でも(毎週アイスホッケーを見に行くような無知なエンドユーザーからの質問に答えるためだけにせよ)IT管理者が理解しなければならないソフトが増えることを意味する。最悪の場合には、これらの検索ソフトはセキュリティ上の新たな頭痛の種となるかもしれない。

 わたしとしてはIT管理者に、エンドユーザーに先んじてDesktop Search for Enterpriseかそれと同等の、効率よくオンライン検索もできるデスクトップ検索製品を迅速に導入することを勧める(Windows XPに付いてくる、おばかな子犬ではだめだ)。それが無理なら、最低でも、これらツールの設定に関する全社ポリシーを定めよう。暗号化を必須とすることだ。これをやると、特にNotesのファイルを検索する際に若干低速になるが、文句を言うエンドユーザーはほとんどいないはずだ。

 IT部門が抱えそうな問題としてもう1つ、わたしが予想するのは、インターネットとデスクトップアプリの両方のコンテンツを一緒に検索できることに慣れたエンドユーザーが、1回の検索プロセスで検索できるコンテンツに社内アプリも含まれるよう、Googleの(または同等ツールのメーカーの)APIを使ってくれとIT部門に要求してくることだ。こうなるとまた作業が増え、対処しなければならないセキュリティホールも増える。

 このようなトラブルのもとになりそうなツールに、それだけの価値があるか? もちろんある。だって無料なんだから。

(By Mark Hall, Computerworld US)

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