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» 2005年09月12日 08時00分 公開

Linux小規模ディストロ礼賛

世の中には数多くのLinuxディストリビューションがあるが、そのなかでもメディアに注目され、Linuxコミュニティーで頻繁に話題になるのはほんの一握りだけだ。では、どのような人がどういう理由で下位80のディストロを使っているのだろうか。

[Alan-N.-Canton,japan.linux.com]

 数多くのLinuxディストリビューションがあるが、そのなかでもメディアに注目され、Linuxコミュニティーで頻繁に話題になるのはほんの一握りだけだ。有名なLinuxランキングサイトの1つDistrowatch.comの上位20には、Ubuntu、Mepis、Fedora、Slackwareなど毎週同じような名前が登場する。では、どのような人がどういう理由で下位80のディストロを使っているのだろうか。

 もちろん、多くのディストロは特別な用途に向けて作成されている。たとえば、SME Serverは、プラグアンドプレイのファイルサーバ/ネットワークゲートウェイとしてデザインされており、Smoothwallはネットワークルータとして作成されている。だが、あまり注目されていないディストロの多くも、注目度が高い人気のディストロと比べて構造や用途の点でそれほど違っているわけではない。

 そうしたディストロにも愛好者がいる理由を理解するために、Kanotixの例を考えてみよう。これは、有名なKnoppixライブCDの変更版だ。作者はJorg Schirottke氏、ニックネームはKanoで、これがディストロ名にも使われている。

 Kanoは、LinuxのKnoppix版を最新ハードウェア向けに最適化し、ハードウェアの検出、コンフィグレーション、高速化のスクリプトを追加した。つまり、Knoppixの改良版を作った。KanotixこそKnoppixのあるべき姿だという人もいるだろうし、インストールしたディストロの中でKanotixだけがそのまますぐにきちんと動作したという人もいるだろう。

 主要ディストロはどれも高速で安定しているので、小規模のディストロは速さと安定性以上のものを提供しなければならない。これほど多くの小規模ディストロに愛好者がいるのはなぜなのか。答えは"コミュニティー"にある。

 人気のディストロには大きなコミュニティーがあり、Webの掲示板、Usenetニュースグループ、IRCチャットなどでサポートを提供している。ただ、不幸にも人気のディストロは概して何がわからないかもわかっていない新参者に好まれ、そういう人たちがどんどん投稿してくる。そのため、質問を出すとさまざまな答えが返ってくることになり、どれが正しくてどれが間違っているのか見定めなければならない。

 Kanotixのようなディストロのコミュニティーでは、Linux初心者が多いとはいっても、普通まったくの初心者ということはない。皆、数カ月程度はLinuxを経験している。そこに来る前にほかのディストロを経験し、それに満足できず、口コミで勧められるなどしてKanotixにやってきた人たちだ。小規模ディストロは、経験のあるユーザに好まれる傾向がある。

 主要ディストロのIRCチャンネルに行ったことがある人なら、それがよく言えばある種の"経験"だということがわかるだろう。フレームウォー、侮辱的発言、汚い言葉といったマナーに欠ける行為が日常茶飯事だ。小規模ディストロの世界は違う。そのような抑制のない光景は、#kanotix (Freenodeにある)などのチャンネルでは見かけない。小規模ディストロのチャットチャンネルの常連は、ほかの人を助けたり、自分自身Linuxについて学んだりすることが好きな人たちだ。ほとんどの場合は本題に関する話にとどまり、脱線したやかましい口論に流れることはない。

 コミュニティーが小規模で、チャットチャンネルやWeb掲示板を訪れる人もだいたい決まっているため、小規模ディストロを使用することは会員制学生クラブに入会することと似ている。そこではみんな仲の良い仲間だ。

 小規模ディストロの大きな魅力は、開発者と身近に話ができることだ。たとえば、Kanotixの作者のKanoは毎日一度はIRCチャンネルにアクセスし、だいたいいつも何時間かはそこにいる。kanotix.comの掲示板に寄せられる質問のうち、難解なものにはKanoが回答してくれる。これは、Linux経験は浅くても学習意欲のある人にとっては特に貴重なことだ。NovellのSUSEのリード開発者やSlackwareのPatrick Volkerding氏と直接話す機会がどれほどあるだろうか。Kanoとなら、必要があれば毎日でもチャットできるのだ。

 誤解しないでほしい。大規模で有名なLinuxディストリビューションを悪くいうつもりはまったくない。大規模で有名になるということは、大勢のユーザーが求めるものを提供しているということだ。だが、現在のプラットフォームのパフォーマンスやサポート、スピリット全般に不満があるという人には、小規模ディストロを試すことは時間と労力をかける価値があるだろう。

Alan Canton――Adams-Blake Company社社長。同社は、JAYA123という、中小企業を対象としたWebベースのバックオフィスアプリケーションを提供している。

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