「例外」に特化したアプリケーションで勝負するビトリア

» 2005年09月20日 12時37分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 従来、EAIベンダーと呼ばれていた多くの企業が、現在はキーワードをSOA(サービス指向アーキテクチャ)に切り替え、業界大手企業による買収合併の波を乗り越える道を探っている。アプリケーション接続は、システム開発において困難を極める部分の1つであり、これまで外資系を中心にさまざまなベンダーがソフトウェア製品を提供してきた。WebMethods、Tibco、先日Sun Microsystemsに買収されたSeeBeyondなども挙げられる。そして、もう1つ、同じ分野でのソリューション提供で知られるのがVitria Technologyだ。

 ワールドワイドセールス担当のバイスプレジデント、ジョン・パリロ氏と日本法人の中畑恒夫社長に話を聞いた。「日本はVitriaにとって世界で2番目の大きな市場であり重視している」と話すパリロ氏。同氏は、システム間接続をすべて手でコーディングしていては時間がかかるだけでなく、ビジネスのすばやい動きに対応していけなくなると説明する。

IBM出身のジョン・パリロ氏。

 Vitriaが提供するコンポーネントを利用してシステムを導入することにより、システムの70%はコンポーネントを利用でき、企業が自社向けに開発するのは残りの30%で済むとしている。

 また、同社は特に、特定業種向けにソリューションという形でアプリケーションを提供することに注力しているという。通信業界、製造業、金融、米国では医療関係にもテンプレートをリリースしている。

 一方、日本法人の中畑社長は、同社の新たな取り組みとして製品化した「例外プロ」(Resolution Accelerator)について力説する。例外プロは、企業が受注や物流など、さまざまな業務プロセスをこなす上で、システム的には対応仕切れないさまざまな例外処理が発生することに目をつけたもの。

 トランザクションとして発生したデータがエラーではないかをチェックし、例外的なものが発生した場合に、従来のように手作業で処理するのではなく、例外専用のプロセスに載せて処理することでシステム的に対応する。

 「マスターデータの統一どころか、名寄せすらできていない企業も多い」と中畑氏。たとえば、1つの製品に対してシステムが意図しない形で製品名が複数あるといったことも多々あるという。これでは、アプリケーションの性能が良くても、それを引き出せない。例外プロはそういった例外を、パターン化、ルール化して対応しようとするソフトウェアだ。

 PDCAサイクルのように、理論上は時間の経過とともに、自社独自の例外処理情報が溜まっていくため、企業システム全体としての精度を上げていくことができるわけだ。

 中畑氏は、「もちろんすべてをシステム化できるとは考えていない」としながらも、例外で柔軟に対応することが、実際のシステムを運用する上で現実的な方法として有効であると強調している。

中畑社長

 また、同社は、SOAにも注目している。アプローチとしては、レガシーシステムにVitriaを被せる形で導入し、機能を新システムにマッピングするというもの。ゼロから開発するよりもずっと効率的とし、SOAが開発の主流になってもVitriaとして企業にソリューション展開できることをアピールしている。

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