「Zend Platform」のメジャーアップグレードが登場

Zend Platform 2はサーバクラスタ全体でセッションデータの同期を取るセッションクラスタリング機能を備え、高負荷の処理を可能にする。

» 2005年09月21日 12時18分 公開
[Chris-Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 動的Webサイト構築用のオープンソースPHPソフトを手がけるZend Technologiesは9月19日、主力製品「Zend Platform」のメジャーアップグレードをリリースした。

 Zend Platform 2ではセッションクラスタリングの追加により、ビジネスクリティカルなアプリケーションにおいてより高い負荷を処理できるようになったと同社は説明している。

 セッションクラスタリングは、サーバクラスタ全体でセッションデータの同期を取り、それによりPHPアプリケーションにスピードとスケーラビリティを加えるプロセスだ。

 「今回の発表は、これまで専門外とされていた市場において、PHPで確実に作業負荷を処理できるようにするという点で重要だ」とRedMonkのオープンソース業界アナリスト、ステファン・オグレディ氏はZiff Davis Internetに語った。

 「PHPは、特定分野のミッションクリティカルなタスクに加え、各部門の作業のようなタイプのタスクで大きな成功を収めてきた。しかしIT部門はクラスタリングやプロビジョニングなどの機能がないと、このような技術を高負荷作業に利用するのを渋ることが多い」(同氏)

 PHPは比較的構成がシンプルでライセンス料が不要なため、SMB(中小企業)と非営利団体の間で、Webサイト構築の手段として以前から人気が高かった。

 しかし、比較的大規模な企業は、オンラインビジネストランザクションや社内での販売チャネルの記録管理など、ヘビーユーザー環境でPHPとPHPアプリケーションを利用することを敬遠してきた。多数のユーザーセッションを処理するには有効でないというのがその理由だ。

 セッションクラスタリングの追加により、これからはPHPに対する見方ががらりと変わるとMarktplaats.nlのCTO(最高技術責任者)ブレット・ケリー氏。同社はオランダのオンライン案内広告サイトで、少し前にeBayに買収された。

 「Zend Platform 2の新しい管理機能とパフォーマンス機能は、Marketplaates.nlサイトを常時確実に動かしておく手助けをしてくれる」とケリー氏。「この製品により、われわれはレスポンスの低下や実行障害に関連する致命的な問題が顧客に影響を及ぼす前に対処できる」

 多くのZend顧客は、ビジネスクリティカルで高負荷に耐えるPHPアプリケーション――しばしば高いユーザー負荷にさらされる――を走らせていると同社は語った。

 これらのアプリケーションはたいてい、同じPHPアプリケーションを走らせる複数サーバによるWebクラスタにより動かされる。

 これにはクラスタ内のサーバ間の負荷を分散させ、利用が増えた時にアプリケーションをスケーリングできるようにする機能が含まれる。

 Webクラスタ運用者はこれまで、ユーザー負荷の増加に対処するためにサーバをクラスタに追加すると、性能低下に見舞われていたとZendは語った。

 セッションクラスタリングを使えば、セッションデータはセッションが確立されたサーバに格納されてる。それからオリジナルサーバからのセッションデータをリクエストすることで、これをクラスタ内のほかのサーバに配布する。

 「セッションクラスタリングはわれわれのWebクラスタのスケーラビリティを大きく改善する」と話すのはドイツで最大のPHPクラスタを有する大手ISP、FreeNetのCTOで経営メンバーのステファン・エシュ氏。

 「FreeNetユーザーは常に増加しているため、当社サイトの可用性を維持し、常にユーザーが満足する応答時間を維持することが重要だ。Zendのセッションクラスタリングはほかの既存のメカニズムよりもずっと優れている。より運用が容易で、より確実だ」(同氏)

 Zend Platform 2の価格は995ドルか、2プロセッサ(あるいはそれ以上)のサーバの場合は1495ドル。

 同製品は20日、Linux向けに提供開始された。今月中にはSPARC Solaris、FreeBSD、Mac OSにも対応するという。

 Zendは、評価期間中はこの製品に対して無制限の無料サポートを提供するとしている。

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