Skypeにクローンが登場(2/3 ページ)

» 2005年10月04日 19時19分 公開
[Nathan-Willis,japan.linux.com]

半オープン・半クローズドの代替製品

 まず、Gizmo Projectを見てみよう。Skype同様、クロスプラットフォームで、クライアントは、Windows、Mac OS X、Linux on x86用のものが用意されている。Pocket PC用はない。ユーザー・インタフェースは、実質的にSkypeと同じだ。連絡先一覧・状態・呼び出し記録のタブと、Playskoolのオモチャ向けにデザインされたようなアイコンがある。

 Skypeと同様、Gizmoの親会社SIPphoneから追加サービスを購入すれば、公衆電話網(PSTN)の利用者と通話することもできる。

 利用者にとって最も重要な違いは、相手の電話を探し出して通話の開始・切断をするのに、GizmoはSIPプロトコル・スタックを使用している点だ。したがって、Gizmoの利用者は競合するSIPシステムの利用者とも通話することができる。

 Gizmoは、Skypeと同様に、GlobalIPSoundのプロプライエタリなiSACとiLBCコーデックを用いている。しかし、他のサービスと接続する場合に必要となるGSM、g711U/A、拡張版 G711、iPCM-wbもサポートしている。Skypeの場合は、自社の提供するコーデックだけをサポートすれば、それで十分である。どちらのクライアントも、電話をかける際のコーデックは自動的に選択される。

 Gizmoは、SIPをサポートし相互接続性を有している。また、「オープンソース版Skype」と呼ばれるのをよく目にする。だが、残念ながら、Gizmoのライセンスはオープンソースではない。SIPphoneの収益源はダイヤルインとダイヤルアウト・サービスであり、同社はオープン標準を支援・支持すると明言するが、そのソースを入手することはできないのである。

Skype Clones Skype、Gizmo、Wengophoneのクライアント

 Linuxユーザー向けのGizmoクライアントは「アルファ」版である。現行版は.debパッケージのみが提供されており、Linspireユーザーは「click and run」(CNR)で使うことができる。しかし、それが仇となって、初めてGizmoを試用したときに問題が発生した。サポートされているオペレーティング・システム3種すべてについて試用してみようとしたのだが、友人がLinspireではないLinuxにGizmoをインストールしようとして深刻な事態に陥ったのである。

 Mac、Windows、Linuxの各ユーザーと通話してみたところ、音質はSkypeと同等だった。しかし、Linuxクライアントでは、電話の基本機能は動作したものの、重要なUIは使えなかった。ほとんどのボタンが機能せず、Viewメニューは空、FileメニューはQuitだけなのだ。

 Gizmoフォーラムによく報告される症状も経験した。CPU利用率が最初の呼び出しが完了するまで100%に張り付いてしまう、セグメント・フォールトが多発するなどといった症状に私も見舞われたのである。Linuxクライアントにはまだ多くの成長の余地が残されていると言っておこう。

 それでは、GizmoはSkypeの代替たり得るだろうか。この質問に対するわたしの答えは否定的である。どちらもプロプライエタリなアプリケーションであり、Gizmoの唯一の利点は呼管理に広く認められた標準を使っているという点だけである。これをしてオープン標準への支持と考えるならば、それはオーディオ・コーデックの問題を見落としているからである。

 SIPはコーデックを認識せず、オープン・プラットフォームには多くのコーデックがある。その中には、オープンソースであり特許に縛られないものもあるのだ。Gizmo Projectがサイトに掲げる「オープン標準への支持」がSIPの採用だけを意味するのなら(そのようだが)、それはあまりにも皮相的と言うべきである。SIPは全体の中の1つにすぎないのだ。

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