「会社の目指すものは何か、うちの強みと弱みは何かを分析するところから始めました。参画意識を高めるため、従業員(60数名)の半数にも参加してもらい、みんなで考えようと」
その結果、最も重視すべき要因は、多品種少量生産と在庫削減と割り出した。結論自体は目新しいものではないが、結論に至るまでの過程を、従業員自身が考えてたどっていったことは、新しいシステムをスムーズに導入することへとつながっていった。
戦略がはっきりすれば、システムの全体像も見えてくる。イメージしたのは、生産計画の策定から、生産管理、販売管理、請求書の発行までを一元的に扱えるシステムだった。
「生産計画を立てるため、営業が販売予測を月単位で半年分程度入力します。2月にはこのペンチが何丁売れるだろうといった予測ですね。その販売予測と現在の在庫データから、システムが工程を逆算し、いつどれくらいの材料を発注し、どの工程をいつまでに終えなければならないのか計画を作ります」
従来は、製品を作りすぎて余ってたり、足らなくなると、営業部門と製造部門がそれぞれ責任のなすり合いをしていた。
「営業がお得意様を回ったり、市場動向をリサーチして、責任を持って販売予測する体制にしました。作りすぎたら営業の責任ですし、計画通り作れなかったら製造の責任ということで、責任の所在がはっきりします」
現場で使われる入力画面のユーザーインタフェースまで、かなり細かく練り込んだ。
「現場では、各ロットに現品票を貼り付けてどの工程にあるかを把握でき、不良品の現象・原因もすぐに分析できるようにしました。弊社は年配の方が多いので、バーコードとテンキーだけで必要な情報が入力できるようにしたいと考えました」
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