会計は昔「そろばん」今「ERP」でグローバル化「次世代」中堅企業はITで利益を出す(2/3 ページ)

» 2005年10月14日 08時16分 公開
[多田 滋,ITmedia]

仕事も変わる

 ERPでは、データが瞬時に流れる。販売データや購買データは、取引が行われると同時に会計伝票へとリアルタイムに変換され、経理部門に流れてくる。経理マンにとっては現場で何が起こっているかを読み取る能力が必要となり、単に数字の計算だけの世界ではなくなる。部門間の垣根が低くなり、より良い決算処理をするためには、他部門の仕事をよく知る必要が増えたとも言える。

 海外との取引が多い企業や、海外に関連会社を多く持つ企業では、英語でのコミュニケーションが必須となっている。ERPでは、ログオン時に言語を指定すれば、その言語で画面表示される。私のクライアントでも、経理部門だけは、海外とのやり取りが多く、英語でログインするところがある。

 海外関連会社と共通の画面で操作できることはコミュニケーションの助けとなる。しかし、それには経理部門の人たちの英語のレベルアップが必須である。そして、会計に関する専門用語はもちろんであるが、ERPで出てくるちょっと特殊な英語も知らないと、海外とコミュニケーションできなくなる。

 日本でも財務諸表は、連結重視となった。そのため、ERP導入のための前提条件として、勘定コードの統一を行う場合があり、名称やそのコードについて関連会社間での統一作業が必要となる。このマッピング作業は、経理業務のIT化においては最も重要な作業であり、また、根気が必要な作業である。

 勘定コードのマッピングは一見簡単そうに見える場合があるが実際に行ってみると、時間のかかる作業である。海外の関連会社とこの作業を行うと、会社や国ごとの会計に対する考え方の違いが見つかったり、業務そのものの違いにぶつかる場合がある。この統一作業をするためには、ERPの基本的な仕組みを理解した上で行う必要があり、次世代の経理部門を背負うキーマン/キーウーマンが行う必要な重要な仕事である。

 会計基準自体の変化も近年激しい。日本では、会計ビックバンといわれるように、毎年のように新しいルールが導入されている。海外でも、国際会計基準(IFRS)と米国会計基準(US−GAAP)との収斂の合意がなされており、ワールドワイドでの収れんが加速している状況にある。ERPで会計基準の違いを実装するには、いろいろな方法が考えられるが、勘定コードで実現するのが一般的であり、ワールドワイドでの視点が必要となる。

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