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» 2005年10月14日 08時58分 公開

Webアプリ開発の新基準:“5.0”でSun支援の「NetBeans」に心奪われるか (1/2)

オープンソースの統合開発環境として「Eclipse」は不動の地位を築いた感がある。しかし、着実に詰め寄る「NetBeans」は、新たな統合開発環境として重要な“もの”を備えてきた。新境地へと踏み込むその狙いはいかに?

[きしだなおき,ITmedia]

 オンライン・ムック「Webアプリ開発の新基準」前回は、これまでを振り返って「Eclipseが何を実現したか?」について解説した。今回は似たようなコンセプトを持つ「NetBeans」について触れていこう。IDE(統合開発環境)の最前線ではいま何が起こっているのか? 感じ取ってほしい。

 NetBeansは、「NetBeans.org」と呼ぶコミュニティーによって開発されているオープンソースのJavaアプリケーション統合開発環境(IDE)だ。米Sun Microsystemsが開発のバックアップを行っていることでも知られている。GUIからWebアプリケーション、EJBまで、追加のプラグインを必要とせず幅広い開発に対応できることが特徴であり、日本語版でも4.1がリリースされている。

 現在、新版となる5.0が開発中であり、10月4日既報のように新たなトピックをそろえたメジャーバージョンアップとなる予定だ。

画面■現在の最新版であるNetBeans 4.1の画面。GUIウインドウやサーブレット/JSP、EJBコンポーネントの作成が、追加のプラグインなしで実現できる

Eclipseと比較すると、優れた点は何なのか?

 Javaで利用するIDEといえば、Eclipseが不動の地位を築いているように思える。Javaアプリケーション開発に携わっている読者であれば、NetBeansは知らなくてもEclipseを現場で使っている人は多いだろう。

 まず最初に、Eclipseと比べて現在のNetBeans 4.1がどのような機能を搭載しているのか簡単に見てみよう。この記事では、NetBeansが何を狙っているのか? Eclipse利用のエンジニアが、新たな開発基準として注目すべき事項について焦点を当てた。

 まずEclipseと比べた場合、NetBeansの最大の特徴は、そのインストールの容易さにある。NetBeans 4.1では、ダウンロードしてインストールするだけでGUIやWebアプリケーションを開発する土壌が整う。また、アプリケーションサーバソフトの「Tomcat」も同時にインストールされるため、何の設定も無しにWebアプリケーションの開発を始めることができるのだ。

 Eclipseもインストール自体は容易なものの、その拡張性からか戸惑ってしまった人もいるだろう。NetBeansでは、アプリケーションサーバ付属のインストーラをダウンロードすれば、EJB開発も行うことができる(Eclipseも3.1で正式対応)。

 Javaのアプリケーション開発といえば、面倒な設定が多いという印象を持っている人が多いだろう。しかし、NetBeansの持ち味は、気軽にJavaアプリケーション開発ができる点にある。多くの意見はあるものの、NetBeansはインストールだけが簡単というわけではなく、機能性でも配慮されている。GUI作成機能では、市販製品を含めても一番使いやすいという評判も聞かれるほどだ。

 EclipseはSWTを採用することでSwingベースの開発環境に比べ、処理動作が軽いということで話題になった。しかし、最新版では必ずしも軽いとは言えなくなり、Swing自体が改善された現在ではNetBeansの方が動作が軽い場面も多いようである。また、まだ正式リリースはされていないが、アプリケーションの性能を計測するための「プロファイラ・プラグイン」や、共同コーディングのためのプラグインも用意されている。

 そうとはいえ、Eclipseの完成度は積み重ねによって実現されたものであり、NetBeansが及ばない点が多々あるのも事実だ。Eclipseは、比較的Javaエディタとしての機能が充実しているが、NetBeansはまだそのレベルには及んでいない。リファクタリング機能も用意されているものの、名前変更とアクセッサ作成実装程度という状況だ。また、コード補完に関しても、求められる型にあわせて絞り込むことは着手されていないのだ。

 最近の開発プロジェクトでは、バージョン管理ソフトを使うことが当たり前となってきているが、NetBeansでもCVSなどのバージョン管理対応の機能を搭載している。しかし、NetBeans 4.1でのバージョン管理対応は、「コマンドがメニューから選べる」という程度でのものであり、お世辞にも使いやすいとは言えない状況だ。

 一方、NetBeansもEclipseと同じくプラグインによって機能を拡張することができる。ひと通りの機能ははじめから用意されており、プラグインを追加せずに一般的な開発ができる。そうとはいえ、ちょっとした追加機能が欲しくなることもあるだろう。デベロッパーであれば、なおさら簡単なものであれば自作したいと思うはずだ。しかし、開発のための技術資料がほとんどないことが足かせになってしまい、NetBeans 4.1用のプラグインが少ないことは事実だ。標準以外のプラグインはほとんど見当たらない。

次期NetBeansのトピック

 現在はNetBeans 5.0が12月のリリースに向けて開発されているが、ここに挙げたような長所が伸ばされ短所が改善されるような機能変更が行われている。

画面■NetBeans 5.0のGUIビルダー「Matisse」。コンポーネントが自由に配置ができ、ウインドウサイズによって場所やコンポーネントサイズも変化する

 一番大きなものは、6月に米国サンフランシスコで開催された「2005 JavaOne Conference」(関連記事)で披露され話題となった新たなGUIデザイナ「Matisse」搭載である(関連記事)。Matisseでは、Java標準ではないレイアウト機能を利用しているものの、コンポーネント配置が行いやすくなっている。通常、Javaアプリケーションのプログラミングでは、豊富なレイアウト機能が標準で用意されるが、特性を理解しなければコンポーネント配置が難しかった。一方、Matisseでは、直感的にコンポーネントが配置できるようになっており、Java利用のデスクトップアプリケーション開発の流れを変えるような可能性を感じる。

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