“5.0”でSun支援の「NetBeans」に心奪われるか：Webアプリ開発の新基準（2/2 ページ）

[きしだなおき，ITmedia]

画面■NetBeans 4.1でもEJB作成に対応しているが、NetBeans5.0ではJBoss 4やWebLogic Serverにも対応する。画面は、データベースからCMPエンティティビーンを作成するウィザード

　また、NetBeans 4.1のEJB対応機能で対応していたのはSunのアプリケーションサーバのみであるが、5.0では比較的利用者の多い「BEA WebLogic Server」や「JBoss Server」にも対応する。

　バージョン管理機能も強化されて使いやすくなり、例えばコードエディタ上で、誰がいずれかのバージョンの行単位で改変したのか？　といった情報まで管理することが可能だ。また、リファクタリングによるクラス名の変更とバージョン管理上のファイル名の変更を同期することもできるという。

画面■補完候補にセッターメソッドが挙がっている。リファクタリングメニューからアクセッサを作成することもできるが、好みの場所にダイアログ操作なしでメソッドを追加できるのが便利である

　5.0ではリファクタリング機能自体も強化されており、Eclipseにはまだ及ばないものの、十分な機能を備えてきた。またコード補完も強化されている。中でもコード補完でアクセッサメソッドやオーバーライドメソッドの作成ができるのは便利なものの1つだ。

　プラグイン作成に関しても、専用のプロジェクトが用意されたため、作成が非常に容易になった。また、現在のところ英文で書かれてはいるが、プラグイン作成のためのヘルプも増えている。これからのプラグイン充実が期待されるところだ。

　プラグイン作成機能を実際に使用する開発者は、利用数に比べれば少数派だろう。しかし、間接的に与える影響は非常に大きい。筆者は、NetBeans 5.0で追加される中でプラグイン作成機能が最も大切な機能であると考えている。

　プラグイン作成が用意されたことで、NetBeansのアプリケーション基盤を利用したアプリケーション作成も容易になったといえる。このアプリケーション基盤は「NetBeans platform」と呼ばれ、NetBeansが備えるウィンドウ管理機能などを利用し、独立したアプリケーション基盤になるものだ。NetBeans platformは、GUIアプリケーションを作成する際、Java標準ライブラリでは足りなかった機能を補い、JavaでのGUIアプリケーション作成には欠かせないものになることも考えられる。

　Eclipseのアプリケーション基盤でリッチクライアントというキーワードで知られる「Eclipse RCP」も同様の機能を提供する。Eclipse RCPがSWTをベースにしているのに対し、NetBeans platformはJava標準のSwingをベースにしている点が大きな特徴だ。

NetBeansの立ち位置はどこか？

　NetBeansの開発が今後も進んでいけば、Eclipseと互角になるという期待もある。しかし、Eclipseも日々開発が行われており、特にJavaコードを記述するための機能という点ではNetBeansがEclipseを超えることは容易ではない。

　筆者が考えるには、そもそもEclipseとNetBeansでは目指すものが違うように思える。Javaのアプリケーション開発をサポートするという目的は同じであるが（EclipseはJavaに限らない統合開発環境と位置づけている）、Eclipseは熟練したJava技術者にとって便利な機能を提供し、NetBeansは入門者にとって便利な機能を提供しようとしているのだ。

　そのように考えると、NetBeansはEclipseと完全に競合するツールではないと考えるのが自然だ。NetBeansは、Javaプログラミングの敷居を下げるという点では、今後は.NETやPHPなど、Java以外の言語開発環境と競合するかもしれない。

　NetBeansによって「Javaは習得が難しい」、から「Javaは習得が簡単」に変わることを期待したい。