NECが米Unisysとサーバ共通化、次期IAサーバを共同開発

NECは米Unisysと協業し、メインフレームやUNIX、IAなど両社のハイエンドサーバのプラットフォームを共通化する。両社は10月26日の発表会でその意図を説明した。

» 2005年10月26日 22時42分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 NECは米Unisysと協業し、メインフレームやUNIX、IAなど両社のハイエンドサーバのプラットフォームを共通化すると10月26日発表した(関連記事)。共通プラットフォームはIAベースで両社が共同で開発。NEC、ユニシスが2007年にそれぞれ投入するハイエンドサーバから適用する。

小林氏 協業を発表したNECの取締役 執行役員専務 小林一彦氏

 NEC、UnisysはIA-32プロセッサを16wayまで搭載するハイエンドサーバのチップセットを開発する。このチップセットを搭載したサーバを共通プラットフォームとして、NEC、Unisysがミドルウェアなどを組み合わせて自社製品に仕上げていく。

 新製品は2007年に登場する予定。2008年にはIA-32/64互換のチップセットを開発し、32wayまでのサーバに対応させる。「NECとユニシスは1本のハイエンドサーバで両社のすべての製品をカバーする」(NEC 取締役 執行役員専務 小林一彦氏)

 両社の協業は、「サーバ生産は全面的にNECが責任を持つ」(小林氏)としていて、NECによるUnisysへのサーバのOEM供給の色合いが強い。小林氏は「共通プラットフォームの開発は、NECのこれまでの予算でやる。NEC1社で行うはずだった予算で両社向けの開発を行う。(今回の協業で)さらなる開発費の増大はない」と説明し、NECが開発の主導権を握ることを強調した。アウトソーシング事業の失敗などで経営の苦境が伝えられるユニシスは、ハイエンドサーバの開発・製造からコア部分の開発を除いてほぼ撤退し、R&Dコストの削減に努める。

 だが、協業をNECとUnisysの資本提携にまで進めるかは、「まったくの未定、白紙」(小林氏)。また、米Unisysが出資する日本ユニシスは「今回の提携にはタッチしていない」(小林氏)としていて、NEC、米Unisysとも日本ユニシスとの関係は変らないとしている。

 Unisysはメインフレームの「ClearPath」(OSとしてOS2000またはMCPを搭載)とIAサーバの「ES7000」を持つが、メインフレームの売り上げは「年率8%で徐々に減っている」(米Unisys エグゼクティブ・バイス・プレジデント ピーター・ブラックモア[Peter Blackmore]氏)。Unisysはメインフレーム顧客をES7000に移行させたいのが本音だが、ES7000の開発コストのねん出が難しくなっているようだ。NECからIAベースの共通プラットフォームの供給を受けて、メインフレーム顧客の受け皿とする。

 ブラックモア氏は「共通プラットフォームがメインフレームの今後のアーキテクチャで重要になると両社が認識した。プラットフォームの共同開発が最もコスト削減効果が高い」と説明した。

 NECもメインフレームのIAサーバへの移行を進めている。2004年12月にはメインフレームOS「ACOS-4」を稼働させられるItanium2搭載サーバ「i-PX9000」を出荷した。HP-UXが稼働する「NX7700i」もIAベース。IAサーバの「Express5800」を含めて、NECのハイエンドサーバはIAサーバへの移行がほぼ完了している。

 NECがUnisysとの協業で狙うのは、Unisysに対してサーバを供給することによる出荷数の増大だ。NECは2007年から2010年にかけてUnisysに対して約2万2000台のサーバを供給する計画。自社向けの約1万5000台をあわせると4万台近くになる。出荷数が増えることで部材などの安価な調達が可能になり、コストダウンにつながるとにらむ。

 ハイエンドIAサーバの世界市場でNECのシェアは7%弱だが、プラットフォームの共通化でUnisysの約33%を加えると、NECは実質的に約40%のシェアを握ることになる。

 NECとUnisysは両社のミドルウェアの相互利用やセキュリティソリューション、テレコム向けソリューションの開発でも協力する。Unisysが世界に展開する保守サービスの拠点をNECが利用できるようにもする。

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