柔軟でオンデマンドなビジネスの実現にはSOAが必須IBM SOA Summit Tokyo Report

 日本IBMは都内のホテルを会場に“IBM SOA Summit Tokyo for IT Management”を開催、IBMコーポレーション、ソフトウェアグループ上級副社長のスティーブ・ミルズ氏が基調講演を行なった。

» 2005年10月27日 14時43分 公開
[渡邉 利和,ITmedia]

 日本IBMは10月26日、東京都内のホテルを会場に“IBM SOA Summit Tokyo for IT Management”というセミナーを開催した。基調講演を行なったのはIBMコーポレーション、ソフトウェアグループ上級副社長のスティーブ・ミルズ氏。

オンデマンドなビジネス実現にはSOAが必須と話したミルズ氏

 同氏はまず、情報化の発展の歴史をメインフレーム、クライアント/サーバ、オンデマンド時代の3期に区分し、それぞれを「事務処理の生産性」「個人あるいは部門の生産性」「組織の生産性」の向上がテーマとなったとした。

 IBMの言うオンデマンド・ビジネスとは、「ビジネス・プロセスが全社および主要パートナーやサプライヤー、さらに顧客までエンド・ツー・エンドに統合されており、お客様の要求や新たな市場機会、外部の驚異に対して柔軟かつ迅速に対応できる企業」だ。

 企業を取り巻く環境の変化はますます激しくなっているが、一方で変化に対応するために既存システムをすべて放棄することはできないので、既存のシステムを生かしつつ、変化に柔軟に対応できる新しいシステム作りが求められている。その解こそが、SOAに基づいたアプリケーションの“サービス・コンポーネント”化だという。

 次いで同氏は、CBM(Component Business Model:コンポーネント・ビジネスモデル)という手法を紹介した。これは、1.ビジネスを機能単位のコンポーネントに分解、2.差別化要素と単純な業務処理を区別、3.コストを算出、4.変革を推進する領域を優先づける、という4段階でSOA化すべきコンポーネントを明確にしていくというものだ。

 さらに同氏は、アプリケーション間の接続性の実現という観点から、モノリシックなアプリケーションからSOAに基づくサービス・コンポーネントへの発展を、コア・ビジネス機能を抽出して余分な要素を切り出していくとして整理して見せた。

 中核的な機能だけを実装することで柔軟性と再利用可能性が高まり、組み替えによるシステム変更が容易になる。こうして、モジュラー化(部品化)を進めることで変化に対応する柔軟性を高めることが、初期のモノリシック・アーキテクチャからSOAに至るコンピューティング・モデル発展の歴史を推進してきた動機であることを明らかにした。

 「柔軟でオンデマンドなビジネスの実現にはSOAが必須」(ミルズ氏)

 IBMの“オンデマンド”というメッセージとSOAがどう関連するのかを大きな流れの中に位置づけて説明し、1950年代からのコンピューティング・モデルの発展の歴史からSOAの重みを明確にした、理解しやすい講演であった。

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