「IBMにはSOA実現のスキル、技術、機能のすべてが備わっている」とミルズSVPIBM SOA Summit Tokyo Report

IBMソフトウェアグループを率いるスティーブ・ミルズSVPが来日、都内のホテルで開催された「IBM SOA Summit Tokyo」で、同社が誇る包括的なSOA基盤を紹介し、IBMこそがSOAのリーダーだと強調した。

» 2005年10月26日 18時52分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムは10月26日、都内のホテルで「Real SOA」をテーマに掲げ、「IBM SOA Summit Tokyo」を開催した。

 IBMソフトウェアグループのスティーブ・ミルズ上級副社長は、「企業は、どうすれば業務を最適化できるか、どうすれば新規分野への参入を迅速にできるか、といったビジネス課題を抱えており、それを解決する支援をIBMに求めている。既存のIT資産をフルに活用しながら、こうした課題を解決することこそが、SOAのコアのメッセージだ」と話す。

2000年からソフトウェアグループを率い、その事業拡大に成功したミルズ氏

 ミルズ氏が率いるソフトウェアグループは総勢1万4000人を擁し、IBMの売り上げの15%、利益では1/3を叩き出す。IBMでは、同社ソフトウェアグループは最大のミドルウェアプロバイダーであるとともに、ビジネスの変革を促すSOA(サービス指向アーキテクチャー)のリーダーだとしている。

 「技術の進化というのは長い旅のようなもの」とミルズ氏。アプリケーション間の接続性ひとつを取ってみても、「接続」や「変換」といったロジックがアプリケーションに埋め込まれていた時代から、メッセージキューイングによって接続を抽象化し、メッセージブローカーによってさらに変換も抽象化してきた。

 IBMでは長い歴史と実績のある「WebSphere MQ」と「WebSphere Message Broker」によって、ITにまつわるフロー制御やデータ変換をビジネスロジックから分離し、サービス要求側とサービス提供側のあいだの情報配布を最適化してくれる「Enterprise Service Bus」(ESB)を企業が構築できるようにしている。

エンドツーエンドのビジネス主導アーキテクチャー

 もちろん、IBMが提供するSOAの基盤はESBだけではない。同社のSOAのためのリファレンスアーキテクチャーによれば、アプリケーションサービス、プロセス(統合)サービス、情報(統合)サービス、ポータルサービスといったWebSphereの製品群は当然として、既存IT資産を生かすアダプタ群、ITインフラやビジネスをモニターするTivoliの製品群、そして開発を迅速化するRationalのツール群があり、「SOAのための包括的な基盤を提供している」とミルズ氏は胸を張る。

 「競合ベンダーが提供しているのは、一つ一つ要素にすぎない。SOAをうたうアプリケーションベンダーも十分に全体を包含しているとはいえない。彼らには数百、数千というアプリケーションが走る環境をすべて統合することはできない」(ミルズ氏)

 基調講演後に行われたプレスブリーフィングでミルズ氏はまた、競合他社との差別化ポイントとして真っ先に挙げたのが「高いトランザクション処理性能、高い信頼性、そして力強い回復力」だった。大規模ユーザーを顧客に抱え、長年にわたり彼らのビジネスを支えてきた同社にしてみれば、決して譲れないところだろう。

 「われわれには、SOAを実現していくためのスキル、テクノロジー、機能のすべてが備わっている。“他社の技術を買うな”“これまでの投資は間違いだった”とは言わないが、既存の投資をフル活用してビジネスを前進させることができる時代になったということだ」とミルズ氏は余裕すら見せる。

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