「SAP TechEd '05」初日、SAP LabsのVice President Market Development Engineering、カイ・ヴァン・ダ・ルー氏が基調講演に登場。ビジネスにおける5つの課題を、ITで解決するための指針を示した。
「SAP TechEd '05」初日、SAP LabsのVice President Market Development Engineering、カイ・ヴァン・ダ・ルー氏が基調講演に登場。ビジネスにおける5つの課題を、ITで解決するための指針を示した。
ヴァン・ダ・ルー氏は、「テクノロジーはこれまでのような基盤技術を指すものではなく、戦略的なものへと変化を遂げた」と話す。そして現在のビジネスの課題を大きく5つにくくり、それをITがどうサポートしていけるのか、また、そのためにどうすれば理想的なITを使えるのか、についてSAPの考えを話した。それぞれについて見ていこう。
SOAは、テクノロジーをビジネスの視点で見ることから始まる。企業の課題は、ライバルとの差別化を図ること。それをITで実現するためには、現在のビジネスプロセスをきちんと把握することから始めなければならない。現状をつかみ、それをより良くすることが差別化につながり、生産性を向上させてくれる。
ビジネスプロセスを定義するとともに、サービスやイベント、ロール、プロセスなどを切り出す。それを「辞書」に登録し、理想に近づけられるように組み直す。登録しておけば、再利用も容易だ。企業が日々革新を続けていくためには、ビジネスプロセスを視点の中心に置いておかなければならない。これらができてはじめて、本当に必要なサービスやパッケージの購入を考えることができる。
コストを抑えるためには、「不要なものをなくす」ことが先決だ。ビジネスプロセスをつかみ、切り出されたサービスを吟味して、今後も利用したいシステムやサービスだけを残す。こうしてシェイプアップされたビジネスプロセスの全体像に基づき、アプリケーションとインスタンスの統合を始めればいい。マスターデータやハードウェアを統合することで、単にコストを抑えられるだけでなく、シェアード・サービスの基盤として活用できるだろう。
システムの統合は、単純にシステムを小さくすることではない。まとまっていながらも、柔軟性を持つシステムにしておく必要がある。業務に必要なプロセスは追加・変更されるものであるため、プロセスの追加や変更の際には、ロードマップを作成し、イベントの大小を定義しておかなければならない。
SAPの提供するビジネスプロセスは、自社だけで考えてきたものではない。パートナーや顧客の知恵を取り込んでラインアップしているものだ。困難だが、プラットフォームを統合することができれば、そこで提供されるサービスは無数にある。SAPの認定ISVソリューションを採用したり、認定テクノロジーパートナーに依頼することで、リスクを抑えながら必要な機能をシステムに加えていくことができる。
1つのビジネスプロセスに対して、1つのソフトウェアを使う時代は終わった。社内においては働く場所が違ってもうまく協業できなければならず、業務をアウトソースする際には外注先を変えても以前と同じだけのパフォーマンスを発揮してもらわなければならない。そのためには、外注先の仕事をこなす能力や依頼する仕事の品質をハンドリングするための仕組みが必要だ。一方で、外注することによる効率化とそのためのコストがどの程度かを常にモニタリングすることも重要になってくるだろう。
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