地域活性化の目玉に! 「産公学」連携によるユビキタス商店街が出現(3/3 ページ)

» 2005年11月04日 19時31分 公開
[丸山隆平,ITmedia]
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大学発のベンチャービジネス

 COCO・WA・DOCOの半田正浩社長は、明治大学嘱託職員として学内の校内ネットワークシステムを構築した経験を持つ。2000人の教職員と3万人の学生をカバーした構内掲示板システム「Oh−o!Meiji」や、講義内容や参考資料などをネットで閲覧でき、教授・クラスメートとのコミュニケーションも行える「クラスWeb」など、他大学に先駆けた明大キャンパスIT化の推進役だった。両システムは文部科学省から特色ある教育プログラムとして表彰された。

 このコンセプトを生かして作成したのが戸越銀座400店舗の商店街公式サイト「戸越銀座ネット」だ。特徴はブログ型であること。400店舗にIDとパスワードを渡し、それぞれの店のホームページは店主が自分で書き換えることができる仕組みとした。ほかのシステムのようにWebマスターがシステムを管理し、コンテンツの書き換えを管理するのではなく、各店舗に任せることで自由度を高めたわけだ。情報の鮮度が上がることで、アクセスも増えることを目指し、同様のコンセプトで、ほかの10商店街のWebページも作成した。

 実は、半田氏は生まれも育ちも戸越銀座。高校時代からパソコンに親しみ、大学卒業後もソフトウェア開発の経験を豊富に持つ。地元商店街の活性化に一役買おうと、PCの講習会を開催するなどの地元との付き合いも始まった。2000年のことだった。

 Webページの構築を手がけることで売り上げは伸びた。周辺にソニーなどの大企業が多く、コンパの開催場所を探したり、ユニークなお店、例えば、たたみグッズを販売している畳屋さんが人気になったり、ここから戸越銀座共通ブランドも生まれた。

 半田氏は、明治大学が2005年10月に開設した秋葉原のサテライトキャンパスの運営も任されている。同キャンパスは、つくばエクスプレスの開通でにぎわう秋葉原駅前の秋葉原ダイビルの6階にあり、明治大学では「IT関連の産学連携拠点、先端的な大学院設置を目指した教育・研究のサテライト拠点」と位置づけている。ここでは、「ユビキタス商店街」の実証実験に先駆けて、実現のためのさまざまな機器、システムの実験を行うことになっている。このビルには明治大学以外にも東京大学、筑波大学などが結集しているほか、日立製作所をはじめとしたベンダーも集積しており、産学連携のメリットも活用できると期待している。

日本最大の商店街をフィールドに

 実験の舞台となる戸越銀座商店街は、五反田と川崎を結ぶ中原街道から東急池上線戸越銀座駅、第二国道、都営浅草線戸越駅などを抜けて大崎方面に向かう全長1.6キロメートルの商店街。商栄会、中央街、銀六街の三商店街に分かれており、直線路では日本で一番長い商店街といわれている。日本各地の商店街が大型スーパーの出店などにより、売り上げが伸び悩む中で「毎年行っている通行量調査でも人通りは減っていない」(戸越銀座商店街振興組合の山村俊雄理事長)という活力ある商店街だ。

 ユビキタス商店街プロジェクトを進める中、商店街は空中で錯綜している電線、電話線を地下に埋設することで東電や、NTTと交渉を続けてきた。商店街の会長も務める山村氏は、「美観や防災上から、地下埋設が実現されるだけでもうれしいこと。次に光ケーブルで何が変わるか、これからの実験次第だが、われわれは日本一長い商店街という大きなフィールドを提供し、次世代に残せるものが生まれることを期待している」と語っている。

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