東京都品川区の戸越銀座では、ユビキタス技術を地域の活性化に活用しようとする「ユビキタス商店街プロジェクト」をスタートさせた。「ユビキタス」技術は商店街に何をもたらすのか――。現地リポートで追った。
「ユビキタス」という言葉が使われるようになって久しいが、それがどう生活に結びついていくのか実感できない方も多いと思われる。しかし、日本で最大級の商店街である東京都品川区の戸越銀座では、ユビキタス技術を地域の活性化に活用しようとする「ユビキタス商店街プロジェクト」をスタートさせた。
明治大学発のベンチャー企業「COCO・WA・DOCO」(ココワドコ)の企画をベースに、品川区と各ベンダーが共同で研究・事業を推進し、2006年度から本格スタート、2012年の稼動を予定している。
「ユビキタス」技術はこれからの地域社会のインフラ整備にどう貢献するのか。商店街に何が生まれるのか――。現地リポートで追った。
「ユビキタス商店街プロジェクト」は国土交通省が関係省庁と連携し、1986年から推進している「電線類地中化計画」の一環として事業化されている。
電線類地中化計画は、地上にクモの巣のように張り巡らされている電線類を地下に移すことで都市景観を向上させるなどの効果を狙ったもの。日本における電線類地中化は、欧米主要都市と比較すると遅れているのが現状だ。
電線の地中化を実現するには、地上に大型のトランスを設置する必要がある。戸越銀座ではすでに幹線道路での設置はほぼ終了しているが、商店街などの密集地ではトランスを設置する余地がないため、今ある街路灯の上にトランスを載せることにしている。そしてこの街路灯を防犯、防災、福祉などのサービスを提供する「マルチメディア街路灯」として活用するのがこのプロジェクトのポイントだ。事業計画は図1にまとまっている。
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