ネットサービスのトレンド変遷インターネットサービスの新基準(2/2 ページ)

» 2005年11月07日 00時00分 公開
[渡辺裕一,ITmedia]
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 国内でドメイン管轄を行うJPNICの発表を見ると、1999年までは企業が申請するco.jpドメインの増加数が2万〜4万程度だった。一方、総務省の情報通信白書でも、1999年の時点で100人以下の事業所ではネット利用率が10%〜30%となっている。100人以上の事業所でも60%前後だ。それが2000年以降になると、市場拡大によって10万人単位で増加し続けているのだ。

接続環境とセキュリティに対する意識の変化

 企業内にインターネットサーバを設置していても、外部にその情報を発信する例は1990年代半ばまでは少なかった。その理由の一つには、セキュリティ対策問題がある。現在はハードウェアやサービスによって確立されているものの、社内と社外の情報を区別して社内から安全に発信することが比較的困難だったからだ。

 これらを扱える知識を持ったネットワークエンジニアの絶対数が不足していたし、それ以上に情報も不足していた。パソコン通信とは全く異なるインターネットの概念、HTMLの仕組み、そしてそれらを制作する要員を教育するためには、時間もコストも必要だった。自社内で解決しなくてもアウトソーシング可能な制作元が少なかったという事情もあるだろう。これらの問題もブロードバンドルータが低価格化し、ファイアウォールがハードウェア実装されるなど、接続やセキュリティ対策環境にも大きな変化が現れた。ホスティングサービスと同じく、容易に構築が可能なサービスが多数登場してきたからだ。ネットサービスの可能性を牽引するものとして、利用者拡大の背景には接続環境の整備があったといえるだろう。

低価格なホスティングサービスが増加

 前述のように現在のホスティングサービスは、データベース、PHP、ECサイトなどをキーワードとした動的なWebコンテンツ構築の容易さ、そしてダウンタイムをゼロに近づけることが共通のものとなっているが、さらに顕著なのが低価格化だ。その背景には、ポータルサービスなどの競争によって、情報量が大幅に増え続けていることにある。構築課程でコンテンツ収集と素早い情報発信ができなければ、現代の情報スピードに追従できず、埋もれてしまう可能性が高いのだ。

 ホスティングサービスにデータベース利用が加わり、最も恩恵を受けた一つはECサイトであろう。その選択肢にも、EC専業のホスティングポータル(楽天など)の利用から、独自システムによる構築まで幅広い選択肢があり、自社の規模やコンセプトに応じて選ぶことができるようになった。ほかにも多くの情報を扱うポータルサイト、コミュニティーサイトも恩恵を受けている例だ。

 また現在のホスティングサービスでは、かつてのように比較的高価な専用サーバを占有しなければ実現できなかったものが、VPS(バーチャルプライベートサーバ)、仮想専用サーバなどをキーワードにしたサービスによって低価格でサーバ占有できるようになっている。このため、比較的低価格で複数ドメインの管理なども容易だ。

 もちろんアクセス数の多いサイトやJava、.NETなどの選択肢であれば、メモリなどのリソース占有がタイトなことから専用サーバが適しているだろう。しかし、独自ドメインは欠かせないものの比較的容易な構築を目的とすれば、仮想化によるシェアリングサーバでも十分かもしれない。

 それでは具体的にどのように選定すればよいのだろうか? 次回は多くのホスティングサービス内容を平均化し、サービス目的にあったスペックを考えていく。

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