結局のところ、複数のアプリケーションを連携し、かつ、分散トランザクション性を保証し、障害が起きた場合でもデータベースの不整合が起きないことを保証するためには、SOAが適しているとはいえない。このような場合には、単一のアプリケーションとして作り直すか、分散トランザクションモニタによる2フェーズコミットの仕組みを実現するかなどの対応、つまり、密結合型のアプリケーション連携が必要となる。
例えば、日本の銀行が他行と合併したときにも、オンラインシステムをSOAで統合するのはほぼ無謀に近い試みといえるだろう。SOAによる疎結合型の連携では、両行のシステムをまたがる処理について、完全な意味でのデータ整合性を保証することができないからである。一方、読み取り中心型の情報系のアプリケーション処理であれば、SOAによる統合は実現の可能性は十分あるだろう。
SOAによるアプリケーション連携は万能ではない。SOAは厳密性よりも柔軟性が重視される領域で活用すべきだ。そういう意味では、SOAは「軽量型のアプリケーション統合技術」であると見なすべきであろう。
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