SOAという言葉は人々を混乱させるために生まれた?SOAでつくる変幻自在の情報システム(1/3 ページ)

SOAの基盤となる技術にWebサービスがある。テックバイザージェイピーの栗原氏はここでいう「サービス」について、「アプリケーション境界を越えて複数のアプリケーションから共用されるソフトウェア部品」と表現する。

» 2005年11月01日 15時06分 公開
[栗原 潔,ITmedia]

SOAで企業の情報システムはどのように変化するのか。オンラインムック「SOAでつくる変幻自在の情報システム」で探る。

栗原 潔(テックバイザージェイピー代表取締役)

 「サービス」という言葉は文脈により多くの異なる意味で使用され、混乱を招きやすい。保守サービスなどの人間が提供する役務を指すケース、あるいは、OSなどのシステムソフトの機能、ユーティリティサービスやASPなどソフトウェアの機能をネットワーク経由で提供すること、値引きや無料提供を行うときに使う和製英語としての意味もある。さらには、ソフトウェアコンポーネント(ソフトウェア部品)をサービスと呼ぶ場合もある。

 言うまでもなく、SOAにおけるサービスは最後の意味である。「ソフトウェアのサービス化」と単に言った場合、文脈によって、ソフトウェアの部品化を示すケースと、ユーティリティー化を指すケースがあるので、特に混乱を招きそうだ。

 多くの人のプレゼンテーションを見ていると、さまざまな意味を持つ「サービス」という言葉を特に説明もせずに混在させていることがあり、「既に知っている人ならともかく、初めて聞く人は混乱するだろうなあ」といらぬ心配をしてしまうこともある。

 無理に作った例だが、「経理サービスアプリケーションをサービスとして提供することで顧客サービスを向上する」という文章を考えてみれば「サービス」という言葉の多重定義性がよく分かるだろう。

 さらに、アーキテクチャという言葉の意味も文脈によってさまざまだ。設計思想という意味で使用されることもあれば、詳細設計という意味で使用される場合もある。

 また、外部に見える仕様の設計のことを指すこともあれば(例えば、インテル命令セットアーキテクチャ)、内部設計のことを指す場合もある(例えば、PentiumのNetBurstアーキテクチャー)。

 さらに、特定の設計ではなく、設計の元となる考え方自体を指す場合もある。クライアントサーバアーキテクチャーという言葉がその例だ。サービス指向アーキテクチャーにおける「アーキテクチャー」もこの意味だ。

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