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» 2005年12月07日 21時42分 公開

SOA構築に不可欠なESBの役割――IONAのArtix

米IONA Technologies、マーケティング担当の副社長を務めるラリー・アーストン氏にSOAとESBについて話を聞いた。

[怒賀新也,ITmedia]

 SOA(サービス指向アーキテクチャー)による、既存資産を生かし、かつ、業務要件の変更に柔軟に対応できる情報システムの構築に注目が集まる中で、より具体的な導入方法論を語る際に、ESB(エンタープライズサービスバス)の重要性が取り上げられている。

 一般に、各業務機能を実現する細かいWebサービスを組み合わせることで、新たにコンポジット(複合)アプリケーションを構築するのがSOAによるシステム構築手法のコンセプトだ。その際、Webサービスを組み合わせるときに、Webサービスの物理的な存在場所を隠蔽し、ESBを論理的な「住所」として指定できる。それが、現実解としてSOAを考える場合に、ESBが欠かせないソフトウェアになると考えられる理由だ。

 SOA実現のためのESBベンダーとして知られ、ドイツのDeutsche PostのSOA導入もサポートした(関連記事)米IONA Technologies、マーケティング担当の副社長を務めるラリー・アーストン氏に話を聞いた。

Artixのオープンソース版として「Celtix」をリリースし、幅広いユーザー層を取り込みたいと話すアーストン氏

 IONAは、1991年に設立、情報システムにおけるシステム間統合を実現するソフトウェア提供で知られており、世界でビジネス展開する通信企業や金融サービス業の多くに導入されている。現在は、SOA構築における仲介役としての重要な役割を担うESB製品「Artix」を提供、数多くのユーザー企業に導入されている。

 アーストン氏は、Artixの導入企業の1つとしてAT&Tを挙げた。AT&Tは、世界最大のIPネットワークビジネスの収益性の向上を図ろうとする通信企業だ。同社は、ビジネス要求や戦略的なプロジェクトにおけるコアとなるシステム対応をWebサービスで行うとしていた。そのために、SOAによって、レガシーシステムと新しい技術を統合させようと考えた。

 こうしたニーズに対して、同氏は、「新しいハブや高価なインテグレーションサーバを導入することなく、キーとなるサービス構築を支援した」と話す。

 SOA化したことによって、AT&Tでは、製品投入までの期間や実装の効率化を実現、プロジェクト予算を数百万ドル削減することに成功したという。プロジェクト規模は1億ドル以上に達したが、検証から実装まで6カ月以内に済ませることができたとしている。特に、既存のシステムを活用したい、段階的にSOA化していく場合に、Artixが機能するという。

 AT&Tが実現したVOIPシステムでは、受注、ネットワークルーティング、サービスプロビジョニング、クレジットカードバリデーションなどに分かれた各エンドポイントとしての情報システムに、それぞれArtixが組み込まれた。既存のアプリケーションに変更を加える必要がなく、また、ハードウェア環境も利用したまま、機能をWebサービス化し、それを分散システムとして組み合わせて1つのコンポジットアプリケーションを構築することができたわけだ。

 このように、SOAで情報システムを構築する場合に、既存の資産を上手に再利用するために、ESBが不可欠になると言っても言い過ぎではないようだ。

 だが、技術的な問題点はまだなくなっていない。例えば、複数のWebサービスを組み合わせて構築したアプリケーションにおいて、1つのWebサービスにおいてキャンセルが発生したときに、いったん確定したトランザクションを取り消さなくてはならない場合がある。対応するためには、いわゆるロングトランザクションと呼ばれる機能が必要になるが、現状では、こうした仕様をSOAに関連する標準技術自体がサポートしておらず、何らかの別の方法で解決しなくてはならない。

 一方で、SOAでシステムを構築、運用することによるメリットについて、アーストン氏は、通信業のBellSouthの例を挙げて説明した。BellSouthでは、SOA化したことによって、数百に及んでいた既存サーバを撤去、1500〜2000万ドルの運用コスト削減を達成した。

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