高性能と低消費電力を両立するUltraSPARC T1搭載サーバが世界同時発表された。CISCからRISCへの移行以上のブレークスルーが期待できる。技術革新にコミットするSunの時代が再び到来する、とSun幹部は話す。
サン・マイクロシステムズは12月7日、新しいUltraSPARC T1プロセッサ(コードネーム:Niagara)を搭載したSun Fire CoolThreadsサーバ、「Sun Fire T1000」および「同T2000」を発表した。低価格ながら、性能が5倍、電力消費が1/5、スペースは1/4で競合他社の2ウェイ/4ウェイサーバを凌駕するという。東京の「Network Computing '05」に駆けつけた同社ストラテジック・インサイト・オフィスのスティーブ・キャンベル副社長は、「CISCからRISCへの移行以上のブレークスルーが期待できる。技術革新にコミットするSunの時代が再び到来する」と話す。
ITmedia まず、最初にトリビア的な質問ですが、UltraSPARC T1のTは“Thread”のTですか。
キャンベル そうです。コードネームは「Niagra」でしたが製品の特徴を明確にするためにこのような名称にしました。同様に、CMT(Chip-level Multi-Threading)には、「CoolThreads」というう名称を与えることにしました。
ITmedia UltraSPARC T1の特徴は消費電力と発熱量が少ないということですから、CoolThreadsには2つの意味が込められているわけですね。
キャンベル 確かに、冷たいという意味とかっこいいという意味の両方を意図したネーミングといえるでしょう。
ITmedia Niagaraについてはかねてから優れた設計のチップだと思っていましたが、当初予定されていた2006年初めというスケジュールを前倒ししての出荷開始ですね。
キャンベル その通りです。Sunは長年にわたり積極的な研究開発投資を継続してきています。今、その結果が続々と実を結びつつあると思っています。
ITmedia これは、CISC(Complex Instruction Set Computer:複合命令セットコンピュータ)時代からRISC(Reduced Instruction Set Computer:縮小命令セットコンピュータ)時代への移行に匹敵するブレークスルーになり得ると思います。
キャンベル CoolThreadsテクノロジーは、CISCからRISCへの移行以上のインパクトをもたらすと確信しています。さらに、注目していただきたいのは、Sunはこのブレークスルーをバイナリ互換性を維持しながら、つまりユーザーの資産を保護しつつ、実現できるということです。
ITmedia CoolThreadsテクノロジーはスペック的に見ると素晴らしいのですが、現実的にはメモリシステムへの負担が大きいのではないかと思います。実際、Intelのハイパースレッディングを有効化した環境上でSQL Serverの性能が出せないという問題が発生したこともあるようです。このあたりの対策は取られているのでしょうか?
キャンベル もちろんです。チップ内部ではクロスバーによるコア間の高速接続を実現し、各コアには専用のメモリコントローラーが割り当てられています。またSunには、OSなどのソフトウェアとチップ設計を同じ会社で行っているという強みがあります。テクノロジーから最大限の性能を引き出すためには、ハードウェアベンダーがソフトウェアスタック全体も所有している環境が必要だと思います。
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