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» 2005年12月09日 11時00分 公開

「トヨタ式」でフォトニクス製造を効率化する富士通

富士通の小山工場は、同社の光伝送装置の製造拠点。トヨタの生産手法に倣い、部材の種類や量が変動しやすい製品の生産効率を約2倍に引き上げた。

[堀見誠司,ITmedia]

 富士通は12月8日、報道関係者・アナリスト向けに同社の光ネットワーク接続機器を主に製造する小山工場を公開した。工場は栃木県小山市にあり、敷地面積は東京ドームの約3.8倍、生産高は1008億円に上る。

 富士通のフォトニクス事業の主力は、NTT、英BT、米Verizon/MCIなど有力通信事業者向けに納入する光装置である。富士通と富士通ネットワーク・コミュニケーションズ(FNC)がWDM(光波長多重伝送)装置や地域内網OED(光エッジ装置)といった基幹ネットワーク用途の光伝送装置を、富士通アクセス、富士通テレコミュニケーションズヨーロッパ(FTEL)が、FTTHやモバイルなどアクセス系ネットワークの収容(多重化)装置の販売を手がけている。小山工場はそうした光システムの製造拠点となっており、同時に電気信号を光に変換するLN変調器やGBIC、SFPなどの光モジュールの生産やシステムの評価・検証も手掛ける。

「光・アクセス・IPシステムはチャレンジングなビジネス」と近間フォトニクス事業本部長

 小山工場の特徴は、製品の性格ゆえの「変種・変量」の生産方式。ユニット(部品)の製造図番が多く、その上製造頻度が月ごと、年ごとになることがある。その一方で、製品の需要変動が大きく「北米の場合、42%が5日以内の短納期」(同社製造部長)だという。そこで生産効率の倍増、製造のリードタイム短縮を目標に、小山工場はトヨタ自動車の生産方式であるTPS(Toyota Production System)を導入した。

 必要なものを、必要なときに、必要なだけ生産・供給するジャスト・イン・タイムの生産を実現するため、後工程が前工程から作ったものを必要分引き取る「後工程引き取り方式」、前工程で後工程に引き取られた分だけを作って補充し、最小限の在庫を持つようにする「後補充生産方式」を生産ラインで実践。その成果として、対前年度比で生産効率が1.8倍、製造リードタイムが68%削減できた。また、棚卸資産も約40%圧縮した。

部品を処理するごとに図番や数量を書いた札(看板)を各工程間で回すことで、必要な量の部材を引き取り、補充する
次期FLASHWAVEのデモ。光スイッチによるハブ構成でダイレクトな光クロスコネクトを可能にし、ラインプロテクション機能でファイバ断でも映像が途切れない

 富士通と言えば、企業向けでは基幹向けハイエンドサーバやソフトウェアのメーカーというイメージが強いが、外資系ベンダーが寡占する国内の通信機器市場において、NECや日立製作所に並ぶ有力な国産ベンダーでもある。現在、国内の光伝送市場ではシェア36%(2004年度、RHK調べ)を握り、NECと熾烈なシェア争いを繰り広げている。同社では、「アクセス網の広帯域化によるモバイル系キャリアのバックボーン増強において、われわれのビジネスを押し上げる市場がある」(経営執行役 フォトニクス事業本部長の近間輝美氏)とみており、音声・映像・データ・モバイルのクワッドプレイを実現する次世代ネットワーク(NGN)での需要を見込んだ新しい光技術の開発にも余念がない。実際にNGNに向けたソリューションとして、光レイヤでのルーティング制御を可能にする標準化中の規格であるGMPLS(Generic Multi-Protocol Label Switching)対応のWDM装置「FLASHWAVE 7500」の次期モデルの製品化を2006年中に予定している。

 近間氏は「光伝送/次世代アクセス分野で世界市場シェア・ナンバーワンを取りたい」と、今後の意気込みを語った。

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