2005年、OpenDocumentフォーマット採用を始めOpenOffice.org 2.0の話題は尽きなかった。11月19日で260万ダウンロードを記録したこのオフィススイートは、企業やSOHOを中心にソフトウェアライセンス見直しの機会を与えてくれた。
10月にバージョン2.0がリリースされたばかりのOpenOffice.org。現在では2.0.1のリリース準備が進んでいるという状況だ。すでに、リリース候補版が用意されており、その評価が進んでいる。
ただし、幾つかの不具合が見つかっているために、実際にリリースされるまではどの程度の時間を要するかが不明だ(関連リンク)。なお、リリース中のRC2には、日本語版も用意されている(関連リンク)。
筆者は「OpenOffice.orgは、どの程度ダウンロードされているんのですか?」という質問をよく受ける。しかし、OpenOffice.orgは世界中の多くのミラーサイトからダウンロードできるため、実際の数値を把握することが困難というのが正直なところだ。
定期発行のニュースレター「OpenOffice.org Newsletter 11月号」によると、11月19日現在のダウンロード数は5270万という(関連リンク)。2.0がリリースされる直前の10月22日には、5010万ダウンロードだったため、バージョン2.0は260万ダウンロードということになる。
この数値は、各ミラーサイトの実際のダウンロード数ではなく、本家ダウンロードページのダウンロードリンクのクリック数を元にしているものだ(関連リンク)。そのために、日本語版のダウンロード数は含まれていない。今後は、日本語公式サイトのダウンロードページでも、このようなデータを収集したいと考えているところだ。
きむらしのぶ氏が、OpenOffice.org向けのガントチャートマクロを開発中だ。かなりの頻度でバージョンアップが繰り返されており、現在バージョン0.9eをダウンロードすることができる(関連リンク)。
ガントチャートとは、プロジェクト管理などに使われる図表のことであり、横軸に時間、縦軸に担当部門などを配して各作業の進捗状況を帯状に記述するもの。プロジェクトの進捗状況を把握することが可能となり、きむら氏のマクロは、ガントチャートをCalcで実現するマクロプログラムなのだ。このほかに、Excel VBAとの違いをまとめた「OpenOffice.org Basic覚え書き」も公開されている。
また、きむら氏は、Mac OS X上の「NeoOffice/J」で開発作業を進めており、Linuxで動作確認をしていることでも知られている。多くのユーザーからの意見や不具合報告を求めているため、興味のある人は試してほしい。
OpenOffice.orgには、比較的クリップアートが充実していないという問題点があった。しかし、Open Clip Artプロジェクトが、パブリックドメインのクリップアート集を公開していることに注目したい(関連リンク)。
中本崇志氏は、この関連としてクリップアートを追加するインストーラを開発している(関連リンク)。OpenOffice.orgでは、ギャラリー機能を使ってクリップアートや素材を管理することができる。このインストーラは、ダウンロードしたクリップアート集をギャラリーに追加するためのものだ。
なお、OpenOffice.orgがSVGファイルの読み込みをサポートしていないため、現状ではPNGファイルを追加するようになっている。
マイクロソフトは11月22日既報のように、オフィススイートの次期バージョン(Office 12)のファイル形式「Microsoft Office Open XML」を、Ecma Internationalと呼ぶ標準化委員会に提出すると発表した(関連記事)。
これに対し、OpenOffice.orgプロジェクトの声明文も発表されている(関連リンク)。
OpenDocumentフォーマット(ODF)は、オフィススイートの標準ファイル形式であり、元々はOpenOffice.org 1.0のファイル形式だったものがOASISの標準化委員会で拡張し、制定されたものだ(関連リンク)。
OpenOffice.org 2.0では、この標準化されたODFファイル形式を採用しており、国際標準としての承認を受けるために、ISO/IECのJTC1(Joint Technical Committee)に提出している(関連リンク)。
声明文の中では「オープンスタンダードのデータフォーマットに対する市場圧力は歓迎すべきところだ」とコメントしている。「しかしそれならばなぜ? 新たなスタンダードを作ろうとするのか」。そう疑問を投げかけている。
OpenDocumentは、現在利用可能な標準ファイル形式として存在している。標準化プロセスが公開されており、特定のベンダーに依存しないことが注目すべきところ。ワープロや表計算ソフトで作成されたドキュメントファイルは、ユーザーにとっての資産。このような資産を長期に渡って互換性維持していくことこそがOASIS OpenDocumentとして相応しいといえるだろう。
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