WWWの父が語るブラウザのビジョン(2/3 ページ)

» 2005年12月28日 14時31分 公開
[eWEEK]
eWEEK

―― そうした進歩を支えるWeb技術の開発にフォーカスする人は十分にいると思いますか?

バーナーズ−リー 今のブラウザで利用できる技術を見てみると、ブラウザは成熟しているだけでなく、HTMLに加えて標準が基盤になっています。例えば、SVG(スケーラブルベクターグラフィックス)がしばらく前から提供されています。これは非常に異なる、エキサイティングでダイナミックな感じをWebサイトに与えます。AJAXやXFormsもあります。これらは成熟しつつあり、人々が実際に習得しているタイプの標準です。

 ですから、データの読み込みと入力の両方をいっそう強力にするであろう技術は増えています。今後はブラウザを今のように明確で静的なものだと考えるのは間違いになるでしょう。この分野ではもっと発展が見られると思います。

―― Firefoxとオープンソースにより、人々が自分のニーズや好みに合わせて改変できる技術が手に入るようになりました。MicrosoftやAppleのクローズドな商用モデルと比べて、Firefoxの成長には感銘を受けましたか?

バーナーズ−リー ブラウザ戦争についてはコメントしませんが、ブラウザ戦争が周期的に起こり、これまでに圧勝してきたさまざまな勝者が恐れられていたことを思い出してください。事態は急速に、大きく変わるかもしれません。わたしが言おうとしているのは、各種のオープンソースおよび商用ソフトにサポートされることは、Webにとって健全だということです。

 実際にはたくさんの人が、メンテナンス付きソフトの提供を受け、サポート料金を支払う契約を結びたいと考えています。ですから商用ソフトメーカーには居場所があります。ですがオープンソースコミュニティーはWebの発展には絶対に不可欠です。健全なコミュニティーを維持するために非常に重要なのです。

―― ブラウザ分野ではセキュリティが大きな問題になりました。広く配布されている技術のセキュリティ問題を解決するには、何をすべきでしょうか?

バーナーズ−リー セキュリティ問題にはさまざまな側面があります。一部のブラウザで残念なソフト上の欠陥が発見されてきました。一部のOSでもです。こうした欠陥がなければ、これまでのようなウイルス、特に各種ソフトのバグを介して広がり、スパムを生むタイプのウイルスは現れなかったでしょう。それらの原因となったOSのセキュリティホールを修正することは本当に重要です。

 最近の一連のフィッシング攻撃を見てみると、ブラウザがユーザーの「エージェント」として働いていること、あるいはユーザーがオンラインで実際に誰とやり取りしているのかを理解することの重要性が浮き彫りになっています。

 ブラウザセキュリティでは、ユーザーインタフェースに関してやるべきことがたくさんあります。ユーザーが銀行のWebサイトを見ていて、本当に銀行のサイトなのだろうかと思ったときに、ブラウザはどうやってそれを判断するのでしょうか? 錠前のアイコンをダブルクリックすれば、誰に対して証明書が発行されているのか分かるかもしれませんが、実際はそれでは役に立ちません。

 わたしたちはW3Cに人を集めて、ブラウザがユーザーに状況を慎重に報告するようにして、ユーザーが実際に誰とやり取りしているのかをより明確にすることについて話し合うつもりです。

 わたしたちには安全なチャンネルを確立するための技術や、証明書に署名する技術があります。セキュリティの中核技術はそこにあります。それをユーザーインタフェースに組み込んで、エンドユーザーにより適切な情報を与えることでそれを完成させなくてはなりません。

―― それは今のブラウザ技術の最大の欠点でしょうか? ほかに目に付く問題はありますか?

バーナーズ−リー ユーザーエージェントに共通の問題については、W3Cのサイトにかなり長い文書が載っています(笑)。証明書にレターヘッドがないことが最大の問題ですが、それについては話し合ってきました。

ブラウザの新しい展開

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR