WWWの父が語るブラウザのビジョン(3/3 ページ)

» 2005年12月28日 14時31分 公開
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―― なるほど。では開発者は既知の問題にどのようにより適切に対処するのでしょうか?

バーナーズ−リー 今後は、もっと標準を採用する必要が出てくるでしょう。SVGのような標準が最新ブラウザでどれだけ使われていないかを知ったら驚きますよ。これはちょっと残念です。

―― ブラウザ分野でエキサイティングな新しいことは?

バーナーズ−リー わたしがエキサイティングだと思っているのは、人々のブラウザに対する考え方の変化です。彼らはデスクトップやノートPCのことを考えていましたが、今は高解像度のディスプレイと各種のダウンロード可能なブラウザをを備えた新しいデバイスが登場しています。

 こうしたブラウザの一部はHTMLとSVGをサポートしています。NokiaはSafariと同じエンジンを搭載した携帯電話を提供しています。今進行している現象の1つは、ブラウザ開発という分野全体がこうしたより小型なデバイスに移っていることです。

―― PCベースのブラウザを介したWebとモバイルデバイスのための新しいWebの互換性を確立するために、どのような支援をしていますか?

バーナーズ−リー W3Cにはこうした互換性を確保するためのMobile Web Initiativeが設けられています。すべての種類のデバイスで同じWebが利用できます。最初からそれをスローガンにしていました。デバイスの独立性、どんなデバイスが登場してもWebが動くようにそれを実現することがモットーです。

 W3Cは正しく統合が行われるようにブラウザ開発者と協力しています。Webサイト作成者にもアドバイスしています。彼らはもうすぐ携帯電話ブラウザの数がコンピュータ向けブラウザの数を超えることに気付くからです。

―― 画面が小さくなることで、ブラウザの占めるスペースが小さくなり、Web利用の中でそれほど目立たなくなるため、ブラウザ体験は変わるでしょうか?

バーナーズ−リー それでもユーザーはブラウジングし、検索し、リンクをたどると思います。ですが、音声コマンドだけですぐにジャンプできる音声入力などもあるでしょう。車に乗っているときなどは、まったく画面がなく、音声だけを返すシステムも使えるでしょう。

 それでも、抽象的な分野でできるだけ効果的にこうした情報を提示するという課題は残ります。

 AJAXの用途の中には、データ駆動型のアプリケーションがあります。Google Mapsやそれをベースにしたアプリケーションなどがそうです。これはデータインタラクティブ機能に基づいており、ユーザーにもっとデータにアクセスして統合できる力を与えています。それはまさにセマンティックWebが目指すところです。

 予定表アプリケーションと銀行の取引明細をつきあわせて、そこから役に立つ見識を得るなど、何かをグラフや表にできるユーザーインタフェースがたくさん出てくると思います。それは非常に強力なユーザーインタフェースシステムで、複数のアプリケーションから情報を閲覧するために基盤データの互換性が必要となります。

 ですから情報空間は、今の静的な文書で見られるものよりもずっと複雑に、リッチになるでしょう。そのようなユーザーが操作できるインタフェースはもっと増えると思います。

―― あなたが見たところでは、セマンティックWebの発展を支えるために、ブラウザはどう変わらなければならないでしょうか?

バーナーズ−リー Webページとは違って、Web中のほかのデータと結合できるデータを持っていたら、そのデータのとらえ方は気が遠くなるほどたくさんあります。セマンティックWebはユーザーが関係と次元の空間をクルーズできるようにするという課題を抱えており、そのユーザーインタフェースには莫大な関心があると思います。

 それは、どうやってデータを転用するかにある程度関係してくるでしょう。本当に興味深いユーザーインタフェースも幾つかあるはずですが、人々はデータにアクセスし、データを利用する力をもっと得ることでしょう。

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