自社のWebサイトは法令を順守している?コンプライアンスに耐え得る情報システムとは?(2/3 ページ)

» 2006年01月18日 11時00分 公開
[佐藤隆,ITmedia]

宣伝活動に影響を与える著作権保護を確実にする諸対策

対策1:ホームページの無断引用を防止するために、著作権があることを明示した

 具体的には、「インク・コムのホームページに掲載された内容および画像の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています」との文言をホームページに明示した。

対策2:社内教育を実施し、Webサイト上のコンテンツを作成するアプリケーションのライセンス管理を徹底させた

 インク・コムがWebサイト上のコンテンツを作成するために利用している画像編集ソフトは、正規の所有者を識別できる機能を持っている。不正にコピーしたライセンス違反のソフト使用すると著作権に違反することになる。そのため、ライセンス管理を厳格にする必要がある。

対策3:ソフトウェアだけでなく、商用文字フォントもライセンス管理の対象とし、責任者を定めた

 文字フォントには、無償であっても著作権を放棄していないものや、有償の商用フォントが存在する。著作権を放棄していないフォントの一部を変更して業務に使用すると著作権違反となる。ソフトウェアだけでなく、フォントのライセンス管理も行う必要がある。

対策4:社内監査では、ライセンス管理状況の把握を行うことにした

 これまでの社内監査は、インサイダー取引、資金流用など金銭に関するチェックが中心だった。しかし、新たにソフトウェアのライセンス違反も社内監査の対象とすることで、ライセンスの管理状況も定期的に把握することが可能だ。

対策5:ライセンス管理ソフトを導入し、無許可の商用ソフト、私用ソフトを発見できるようにした

 会社が正式な手続きで購入したソフトウェアだけを管理しても、従業員が勝手に私用しているものをインストールして使用する可能性がある。そこでライセンスを一括管理できる専用ソフトウェアを導入した。

 このように、自社が所有する著作権の確保から着手し、その後、他社が所有する著作物との識別、管理へと範囲を広げていった。著作権に関するコンプライアンスの取り組みは、社内で実施しただけでは終わらない。万が一、問題が発生した場合に備えて、定期的な検査(ここでは社内監査とした)を実施し、報告書として記録を残していく活動は欠かせない。

 また、技術的なアプローチを導入することで今後の活動に要するコストを削減するという視点も大切だ。今回の場合、未然防止策としてライセンス管理ソフトを導入したのがそれに当たる。ライセンス管理ソフトには、商用ソフトだけでなく、フリーソフトを使うという選択肢もある。ただ、ライセンス管理ソフトによっては、レジストリを書き換えないで実行可能なソフトウェアは検知できないケースが確認されている。どのソフトウェアを採用すべきか、専門家に相談するのがいいだろう。

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