株式会社が作成すべき書類は、貸借対照表、損益計算書をはじめ幾つかあるが、このうち営業報告書についてはその具体的な記載方法などが商法施行規則第103条から第105条に規定されている。今回はこちらを解説しよう。
当社は設立間もないIT関連の会社ですが、社長からマザーズ上場に際して問題がないように作成すべき書類を準備しなさいと指示を受けています。まずは商法に違反することがないように書類を揃えたいと考えております。貸借対照表および損益計算書は作成したのですが、営業報告書の記載内容について教えてください。
株式会社が作成すべき書類は、貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益の処分または損失の処理に関する議案およびその附属明細書(商法281)とされていますが、営業報告書の具体的な記載方法などは商法施行規則第103条から第105条に規定されており、その主な記載内容は以下のようになっています。
なお、2004念年4月1日より後の最初に到来する決算期から連結計算書類の作成が必要となり、連結計算書類作成会社は前記のうち(1)(2)(4)(5)(11)については連結ベースで記載することも認められましたので注意が必要です(有価証券報告書を提出していない会社については、当分の間、連結ベースでの作成は求められていません)。
前記の記載内容からも明らかですが、営業報告書は貸借対照表や損益計算書のように会計帳簿から作成されるものではなく、会社の状況に関する重要な事項を文書により報告するものと言えます。
解説 |
商法施行規則では、営業報告書について前記のような項目が示されているだけであり、具体的な作成方法が示されていないため、日本公認会計士協会(「営業報告書のひな型」会計制度委員会研究報告第10号平成16年3月17日)や日本経団連(「商法施行規則による株式会社の各種書類のひな型(改訂版)」平成16年3月31日)などがそのひな型を公表しています。営業報告書などを作成する場合は、これらのひな型を参考にしながら会社の置かれている状況に応じて記載すると良いと思いますが、ここでは有価証券報告書未提出大会社の一般的なスタイルの営業報告書を想定して簡単に解説を加えていきたいと思います。
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