新株発行規制などについての改正こんな時期だからこそ知っておきたい企業のファイナンス(2/3 ページ)

» 2006年01月24日 09時15分 公開
[第一法規]

2.新株の有利発行決議の有効期間

(1)改正の概要

 新株の有利発行の株主総会の決議は、従来<1>決議後最初に発行する新株についてのみ効力を有し、かつ<2>決議後6カ月以内に払込みをするものに限られていました。

 改正法は、決議の日から1年内に払い込みをすべき新株について、総会決議後最初に発行されるものに限らず、授権決議が効力を有するものとしました。

 取締役会は、株主総会決議の範囲内であれば、会社の資金調達の便宜を考えて数回にわたり新株発行をしても、また、その決議後に別の新株発行をした後に当該授権決議に基づく新株の有利発行が行えます。

(2)改正の趣旨

 従来は、新株を有利発行するかどうかは、株主が新株発行ごとに具体的な事情を考慮し、その必要性を個別に判断すべきであるとの理由から、<1>有利発行の授権決議は、その決議後最初に発行する新株の発行に限られるものとされ、また<2>有利発行の授権決議から6カ月以上を経過するときは有利発行をすべき事情に変更があり得るとして、授権決議の効力を6カ月と規定していました。

 しかし、有利発行につき株主総会の特別決議による授権を得ている以上、取締役会が決議の範囲内において数回にわたり新株を発行したとしても、株主に経済的損失を与えるおそれはありません。また、授権期間を1年としても直ちに株主の利益を害するとも言えず、株主総会が通常1年に1回しか開催されないため、決議後6カ月を過ぎて有利発行をしようとするときは、改めて株主総会を開催する必要があるというのは会社にとって過大な負担となるため、従来の規制は過剰な規制であるとして、規制を緩和したものであります。

次ページ:総数引受の場合の株式申し込み証の作成免除

Copyright Dai-ichi Hoki Allright Reserved

注目のテーマ