コアスイッチで企業市場狙うアルカテル、「カギはIPv6とマルチキャスト」

日本アルカテルはコアスイッチ「OmniSwitch 9000シリーズ」を発表した。IPv6の対応とマルチキャストをサポートする高性能で企業市場に攻勢をかける。

» 2006年01月25日 16時03分 公開
[堀見誠司,ITmedia]

 日本アルカテルは1月25日、企業向けコアスイッチ「OmniSwitch 9000シリーズ」2モデルを発表、同日より「OmniSwitch 9700」と各種モジュールの販売を開始した。

 OmniSwitch 9000は、アルカテルのLANスイッチ「OmniSwitchシリーズ」の最上位機種。OmniSwitch 9700は8つのインタフェーススロットを備える11Uのシャーシ型の筐体で、最大48個の10ギガビットイーサネット(10GbE)ポートを収容できる。

 OmniSwitch 9000の最大の特徴は、ハードウェアとしての処理性能と冗長性である。「企業のネットワークインフラの今後の要件として、IPv6とIPマルチキャストが重要になる」(平井 賢吾 エンタープライズ・ソリューション事業部事業部長)という観点から、ほかのOmniSwitchシリーズとは異なるアーキテクチャを採用した。

 ハードウェアは、CPUとスイッチファブリック、ファン、電源のすべてを冗長化、さらにホットスワップ可能な各ネットワークモジュールにCPUを搭載した。独自OS「AOS(Alcatel Operating System)」の管理によりレイヤ2および3の基本パケット処理をそれぞれで分散して行い、万一モジュールが故障しても処理が継続する仕組みになっている。また、パケットのキューイングとテーブルの作成をASICで同時に実行するため、「ポートに入る最初のパケットからワイヤスピードで処理できる」(大麻 剛稔 テクニカルコンサルタントマネージャー)。従来はソフトウェアでキューイングを行った後、ASICで転送処理していた。

OmniSwitch 9700 10スロット仕様のOmniSwitch 9700

 IPv6はデュアルスタック、トンネリングの両モードでサポートする。ネットワーク機器にv6を実装するとIPv4側のネットワークに影響するケースがよくあったが、IPv4/6を同時利用した場合もスループットが落ちないという。OmniSwitch共通の認証VLANや検疫ネットワークなどのセキュリティ機能も搭載する。

 なお、OmniSwitch 9700の倍の16インタフェーススロットを持つ上位機種の「OmniSwitch 9800」は1.92Tbpsのバックプレーン、768Gbpsのスイッチング容量を誇り、高密度のモジュールを利用すると最大96個の10GbEポートを収容可能。リリースは第4四半期となる予定だ。価格は800万円から。

 9000シリーズ共通のネットワークモジュールは、10GbE×2、10GbE×6、100/100/1000BASE-T×24、PoE(電源供給可能ポート)対応100/100/1000BASE-T×24、GbE×24の5種類。GbE×24、10GbE×2モジュールは光ファイバ着脱可能ポート仕様で、9700と同時に出荷された。

 平井氏は、「われわれはキャリア向けだけでなく企業向けの製品でも実績がある」と、売上の割合ではキャリア向けの半分となるエンタープライズ分野の製品の販売にも今後注力したいとコメント。国内では、大学、病院が当初のターゲットとなる。同社のLANスイッチの主要な顧客であり、マルチキャストの利用が多いためだという。

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