BorlandがIDEを売却へ――今後の展開を注視するユーザーたち(1/2 ページ)

Borlandは、自社のIDEを売却する計画だ。ユーザーの間では、楽観的な見方がある一方で、買収するのはどの企業かという問題をめぐって憶測が飛び交っている。

» 2006年02月13日 15時02分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 Borland Softwareは、自社の統合開発環境(IDE)を売却する計画だ。Borlandユーザーの間では、楽観的な見方がある一方で、買収するのはどの企業かという問題をめぐってすでに憶測が飛び交っている。

 ミネソタ州セントポールにあるDunn Solutions Groupの開発者、ニック・ホッジス氏は、BorlandのDelphi IDEのユーザーであり、この技術の将来については「警戒しつつも楽観視している」と話している。

 一方、フロリダ州タンパにあるTransWorld Networkのシニアソフトウェアエンジニア、ランディ・マグルーダー氏は、「彼らはDelphiの引き取り手を早急に見つける必要がある」と話している。

 両氏とも、同製品に将来については楽観的な見方をしているという。Borlandはあまりサポートしてこなかったけれども、Delphiは非常に優れたツールであるというのが理由だ。

 「マーケティングという面に関して言えば、Delphiは長い間、Borland社内で惰眠をむさぼってきた」とマグルーダー氏は指摘する。

 ホッジス氏も「DelphiはBorland社内でまま子扱いされてきた」と同意見だ。

 「Borlandのツールが立派なことをしても、決してそれを耳にすることはなかった」とマグルーダー氏は話す。

 「例えば、BorlandはDelphiをシームレスに.NETに対応させたが、MicrosoftはVB6(Visual Basic 6)ユーザーをVB6からVB.NETに移行させるのに苦労した。にもかかわらずBorlandは、そのことをあまり宣伝しなかった」と同氏は語る。これは、.NETという新プラットフォームへの移行に際してVBユーザーを置いてきぼりにしたとして、一部のVBユーザーがMicrosoftに救済を嘆願した、いわゆる「VBの乱」について言及したもの。

 「Delphiを引き取る企業がリスクを恐れず、大胆に技術革新を進め、この開発ツールの機能を宣伝すれば、大きなチャンスが開けると思う」とマグルーダー氏は語る。

 ノースカロライナ州キャリーにあるGartnerの調査担当副社長、ジム・ダッガン氏は、「ボーランドのツールのユーザーベースは、非常に忠誠度が高い。Delphiの市場は、これまでよりも大きくなる可能性がある。また、Windows Vistaに対応した新世代のツールに対するニーズも出てくるだろう」と語る。

 ダッガン氏は、ボーランドのC++およびC#ツールにも「チャンスはある」としながらも、「多くのユーザーはJBuilderを見限った。Eclipseに負けたのだ。数年前にVisual Studioが.NET分野の競合製品をやっつけたのと同じだ」と指摘する。

 マグルーダー氏は、BorlandのJavaツールセットについて、「Eclipseが存在するため、どんな企業の旗印の下であろうともJBuilderに将来はない」と話す。

 そればかりか、マグルーダー氏はアプリケーションライフサイクル管理にフォーカスするというBorlandの計画についても懐疑的な見方をしているという。

 「Borlandにはあまり期待できない。今回の動きは、Inpriseの焼き直しにすぎない」と同氏は指摘する。Borlandは1998年、当時のデル・ヨーカムCEOが社名をInpriseに変更し、ミドルウェア企業になることを目指したが、この試みは失敗に終わった。

 一方、観測筋の間では、Borlandのツールを買収するのはだれかについて、すでに憶測が流れ始めている。

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