Oracleのオープンソース買収熱Trend Insight(1/2 ページ)

Oracleは最近買収に熱心で、噂が本当ならこれは今後もまだ続くという。同社がオープンソース企業を狙っていることは、MySQLやそのほかのオープンソースコミュニティーに大きく影響しそうだ。

» 2006年02月22日 12時04分 公開
[Joe-"Zonker"-Brockmeier,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 Oracleは最近買収に熱心で、が本当ならこれは今後もまだ続くという。Oracleのような規模の会社としては異例の行動だが、同社がオープンソース企業を狙っていることは、MySQLそのほかのオープンソースコミュニティーに大きく影響しそうだ。

 Oracleは2005年10月、Innobaseを買収し、今度はSleepycatも買収した。InnobaseとSleepycatのライセンスソフトウェアはMySQLに含まれているため、MySQLは将来、これについてOracleと交渉しなければならなくなる。

 OracleはMySQLも買収しようとしたが、MySQLは独立を維持する道を選んだ。

 MySQLのCEOであるマーテン・ミコス氏は、質問を受けて、同社が目指すのは「独立した存在としての成功」であり、OracleによるSleepycat買収は「オープンソースの力を大いに立証している」と話した。「わたしたちはずっと前から、大手ベンダーがなんらかの形でオープンソースを採り入れると予見していました。例えば、企業買収、オープンソースイニシアチブの設立、古いクローズソース製品のオープンソース化などです。今まさにそのとおりのことが起きているということです」

企業によってオープンソースが所有される危険

 Oracleの買収熱について誰もがミコス氏のように楽観的なわけではない。PostgreSQLの開発者ジョシュ・バーカス氏は、「企業によってオープンソースが所有される危険」を以前から懸念しており、OracleによるSleepycat買収は「その典型」であるという。

 バーカス氏は、PostgreSQLのように特定企業の支配下にないプロジェクトであれば、単に競合相手を買収するだけの Oracleのような企業に大きく影響されることはないという。だが、MySQLのように特定企業が進めているオープンソースプロジェクトの場合、大きく方向性が変わる可能性がある。例えば、Nessusだ。

 2005年10月、Tenable Network Securityは、GPLをやめ、Nessusの新しいバージョンについてはプロプライエタリラインセンスにすると決定した。このライセンスでコミュニティー・フォークが可能とはいえ、NessusはPostgreSQLやApacheのようにはコミュニティー開発の恩恵を受けられなかった。NessusのGPL版フォークは出ているが、開発者とユーザーを今後も長くつなぎとめていけるかどうかは不明だ。

MySQLへの影響は?

 ミコス氏によれば、OracleのInnobase買収がMySQLのユーザーに与える影響は当面ないという。「InnoDBはGPLに基づいて提供されるので、ライセンスについてそれほど変動はありません。商用ライセンスに対応した現在のInnoDBの契約には、段階的縮小と存続の条項がありますから、ユーザーは安全です」

 Oracleの元幹部で現在はSolid Information Technologyのマーケティング/ビジネス開発担当副社長のパオラ・ルベット氏は、違う考えだ。

 ルベット氏は、SleepycatとInnobaseが「Oracleの戦略にもたらすもの」はMySQL打倒以外に考えられないという。「これらの技術の進歩と将来は、もうMySQLの手元にはありません...。こうしたデータベースコードの開発は非常に複雑であり、例えMySQLがコードを入手できるとしても、MySQLに(Berkeley DBやInnoDBの)開発者はいないのですから」

 MySQL以外でBerkeley DBを利用しているプロジェクトにとって、OracleのSleepycat買収はどのような影響があるのだろうか。Berkeley DBがOpenOffice.org、Subversion、Sendmail、OpenLDAP、その他多数のオープンソースプロジェクトで使用されているということは、Sleepycatの売りでもある。

 Sleepycatの社長兼CEOであるマイケル・オルソン氏は、Sleepycatブログで次のように述べている。「Sleepycatが開拓して順調に進んできたオープンソース戦略を変える予定はありません。Berkeley DB製品は、これからもオープンソースライセンスとプロプライエタリライセンスの両方で提供されます」Sleepycatへのインタビュー申し込みには回答がなかった。

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