グループウェアの選び方と新世代コラボツールコラボレーションプラットフォームの今(1/2 ページ)

企業内の情報共有ツールの定番は、やはり「グループウェア」だろう。しかし、このグループウェア、実にさまざまな製品があり、選択はなかなか難しい。そこで本記事では、グループウェアの特徴および選択時の注意点などを整理する。さらに、最近注目されているリアルタイムコラボレーションと、新しいツール「Skype」の可能性についても触れよう。

» 2006年02月23日 12時30分 公開
[井上健語(ジャムハウス),ITmedia]

企業内情報共有のためのツールがグループウェア

 企業内で情報共有するなら、まずは「グループウェア」を検討するのが常道だろう。グループウェアは、まさに組織内の情報共用を目的として生まれ、進化してきたソフトウェアだからだ。製品によって差はあるが、グループウェアは一般的に次のような機能を持っている。

  • 電子掲示板……社員向けの掲示板。従来は情報を紙に印刷して壁に貼って伝達していた機能をネットワーク上の電子的なサービスに置き換えたもの。アイデアを募集したりアンケート機能を持つなど、双方向の機能を備えた製品もある。
  • スケジューラ……自分のスケジュール管理はもちろん、ほかの社員のスケジュールを参照することもできる。会議室などの予約機能を追加した製品もある。
  • ToDo……個人やグループによる作業の進ちょくを管理する機能。
  • アドレス帳……取引先や顧客の電話番号、メールアドレスなどを登録し、ほかの社員と共有する機能。
  • 伝言メモ……ほかの社員に伝言を残す機能。外出中の社員にかかってきた電話メモを残すなどの使い方ができる。
  • 電子会議室……テーマごとに社員間で意見を交換する機能。
  • 施設予約……会議室や備品などの予約を行う機能。

 グループウェアを利用するということは、上記のような機能を組み合わせて社内の情報を共有し、業務を効率化するということにほかならない。

 例えば会議を開くとき、グループウェアを使えば、参加者の予定を一人ずつ口頭や内線で確認する必要はない。スケジューラを使って参加者の空き時間状況をすぐに確認できるからだ。同時に会議室の予約を入れたり、配付資料をファイルとして送付しておくこともできる。

 このように、グループウェアはその導入効果が目に見えやすいソフトウェアだ。さらに、全社員が利用できなければ意味がないため、操作も簡易である。少なくとも、WordやExcelに比べたら習得に要する時間はずっと短かくてすむ。

 しかし、いざ製品を選ぶ段になると、その製品の多さに面食らうことになるだろう。無料の製品がある一方、有名な大企業が提供している数十万円の製品も存在する。そこで、まずはグループウェアの現状と製品のタイプについて、ざっと外観しておこう。

グループウェアはクライアント・サーバ型、ASP型、P2P型の3タイプ

 現在、大企業で利用されているグループウェアは日本アイ・ビー・エムのLotus NotesとマイクロソフトのMicrosoft Exchangeの2製品が主流だ。そのほかにも、NECの「STAR OFFICE」、富士通の「TeamWARE」などさまざまな製品があるが、1999年にWebベースでグループウェア機能を提供する「サイボウズ」が登場し、大きくシェアを伸ばして以降、Webベースのグループウェアが増えてきた。

 特に中小企業向けには、専用のリッチなクライアントアプリケーションを必要とする他社の製品と異なり、クライアントにWebブラウザだけあればいいサイボウズ型のグループウェアは人気がある。さらに、サーバ機能をホスティングするASP型、サーバを必要としないピア・ツー・ピア(P2P)型など、さまざまな製品が登場している。

画面1■Xteam(http://www.xteam.jp/)の画面(サンプル)。Microsoft GroupBoardのASP型サービス

 表1は、「クライアント・サーバ型」「ASP型」「ピア・ツー・ピア(P2P)型」の主な特徴をまとめたもの。

表1■グループウェアの3タイプ
クライアント・サーバ型 ASP型 P2P型
導入の容易さ
コスト
セキュリティ
スピード

 クライアント・サーバ型はサーバマシンを必要とするため、導入の敷居は若干高くなる。しかし、セキュリティと動作速度の面では優れる。ASP型はサーバが外部にあるため管理などの手間は不要だが、動作速度やセキュリティ面で少し劣る。P2P型は導入面とコストに優れるが、セキュリティや運用面で不安がある。

 ただし、実際にはクライアント・サーバ型でも導入が簡単な製品もあるし、ASP型も利用形態によっては動作速度が問題にならないケースもある。あくまで、各製品を見るときの1つの目安と考えてもらいたい。

 この3つのタイプごとに主なグループウェアをまとめてみた。

クライアント・サーバ型

ASP型

P2P型

利用しているレンタルサーバ/ホスティングサーバのサービスも要チェック

 ここまで、グループウェアの概要と種類について解説したが、導入を検討する際には、自社で利用しているホスティングサーバやレンタルサーバのサービスもチェックしてほしい。というのは、これらのレンタルサーバ/ホスティングサーバ業者がグループウェアを付加サービスとして提供しているケースも多いからだ。

 例えば、NTTPCコミュニケーションズが運営するホスティングサービス Web ARENA Suite2では、先でサーバ型に分類したdesknet'sが利用できる。別途ライセンス購入は必要になるが、購入するとサーバ側にdesknet'sのサーバプログラムがインストールされるので、ASP型と同等の簡易さでdesknet'sが利用できるようになる。

 このように、レンタルサーバ/ホスティングサーバの付加サービスとしてグループウェアが提供されている場合、価格面でも割安な場合が多いのでぜひ確認してほしい。

注目されているリアルタイムコラボレーション

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