企業内の情報共有ツールの定番は、やはり「グループウェア」だろう。しかし、このグループウェア、実にさまざまな製品があり、選択はなかなか難しい。そこで本記事では、グループウェアの特徴および選択時の注意点などを整理する。さらに、最近注目されているリアルタイムコラボレーションと、新しいツール「Skype」の可能性についても触れよう。
企業内で情報共有するなら、まずは「グループウェア」を検討するのが常道だろう。グループウェアは、まさに組織内の情報共用を目的として生まれ、進化してきたソフトウェアだからだ。製品によって差はあるが、グループウェアは一般的に次のような機能を持っている。
グループウェアを利用するということは、上記のような機能を組み合わせて社内の情報を共有し、業務を効率化するということにほかならない。
例えば会議を開くとき、グループウェアを使えば、参加者の予定を一人ずつ口頭や内線で確認する必要はない。スケジューラを使って参加者の空き時間状況をすぐに確認できるからだ。同時に会議室の予約を入れたり、配付資料をファイルとして送付しておくこともできる。
このように、グループウェアはその導入効果が目に見えやすいソフトウェアだ。さらに、全社員が利用できなければ意味がないため、操作も簡易である。少なくとも、WordやExcelに比べたら習得に要する時間はずっと短かくてすむ。
しかし、いざ製品を選ぶ段になると、その製品の多さに面食らうことになるだろう。無料の製品がある一方、有名な大企業が提供している数十万円の製品も存在する。そこで、まずはグループウェアの現状と製品のタイプについて、ざっと外観しておこう。
現在、大企業で利用されているグループウェアは日本アイ・ビー・エムのLotus NotesとマイクロソフトのMicrosoft Exchangeの2製品が主流だ。そのほかにも、NECの「STAR OFFICE」、富士通の「TeamWARE」などさまざまな製品があるが、1999年にWebベースでグループウェア機能を提供する「サイボウズ」が登場し、大きくシェアを伸ばして以降、Webベースのグループウェアが増えてきた。
特に中小企業向けには、専用のリッチなクライアントアプリケーションを必要とする他社の製品と異なり、クライアントにWebブラウザだけあればいいサイボウズ型のグループウェアは人気がある。さらに、サーバ機能をホスティングするASP型、サーバを必要としないピア・ツー・ピア(P2P)型など、さまざまな製品が登場している。
表1は、「クライアント・サーバ型」「ASP型」「ピア・ツー・ピア(P2P)型」の主な特徴をまとめたもの。
クライアント・サーバ型 | ASP型 | P2P型 | |
---|---|---|---|
導入の容易さ | △ | ○ | ○ |
コスト | △ | ○ | ○ |
セキュリティ | ○ | △ | △ |
スピード | ○ | △ | ○ |
クライアント・サーバ型はサーバマシンを必要とするため、導入の敷居は若干高くなる。しかし、セキュリティと動作速度の面では優れる。ASP型はサーバが外部にあるため管理などの手間は不要だが、動作速度やセキュリティ面で少し劣る。P2P型は導入面とコストに優れるが、セキュリティや運用面で不安がある。
ただし、実際にはクライアント・サーバ型でも導入が簡単な製品もあるし、ASP型も利用形態によっては動作速度が問題にならないケースもある。あくまで、各製品を見るときの1つの目安と考えてもらいたい。
この3つのタイプごとに主なグループウェアをまとめてみた。
ここまで、グループウェアの概要と種類について解説したが、導入を検討する際には、自社で利用しているホスティングサーバやレンタルサーバのサービスもチェックしてほしい。というのは、これらのレンタルサーバ/ホスティングサーバ業者がグループウェアを付加サービスとして提供しているケースも多いからだ。
例えば、NTTPCコミュニケーションズが運営するホスティングサービス Web ARENA Suite2では、先でサーバ型に分類したdesknet'sが利用できる。別途ライセンス購入は必要になるが、購入するとサーバ側にdesknet'sのサーバプログラムがインストールされるので、ASP型と同等の簡易さでdesknet'sが利用できるようになる。
このように、レンタルサーバ/ホスティングサーバの付加サービスとしてグループウェアが提供されている場合、価格面でも割安な場合が多いのでぜひ確認してほしい。
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