「声にならない声」をあぶり出せコンタクトセンターが企業の顔になる(1/3 ページ)

顧客の「声にならない声」を集めることがコンタクトセンター運営の成功を占う。受注センター、営業部門、マーケティング部門への情報と併せて、新たな商品の開発やプロセスの改善などを図れば「正の循環」が実現できる。

» 2006年02月27日 09時51分 公開
[杉山正二,ITmedia]

オンラインムック「コンタクトセンターが企業の顔になる」

杉山正二(アールエスコンポーネンツ取締役)

 前回(昔の商店主に顧客主義を学ぶ)は、CRMという観点からコンタクトセンターの重要性と背景について考察した。今回は、前回の内容を踏まえて、コールセンターにどのような機能が必要とされるかを説明したい。

 コンタクトセンターには大きく分けて、4つの機能が必要と考えている。しかも、その4つの機能が有機的に統合されて、相乗効果が出る形で運営されていることが重要である。4つの機能とは、顧客の声を(1)集める、(2)声に応える、(3)声を記録し、分析し、知見を導き出す、(4)声を分析して得た知見を社内へ発信、フィードバックするという4つの機能である(図1参照)。

図1

 それぞれの機能について、もう少し詳しく説明していこう。

 まずは、(1)の顧客の声を集める機能である。これは今さら説明するまでもないほど基本的な事柄だ。企業は自社の情報を発信するために、Webサイトや電子メールといった今時のツールだけでなく、電話、FAX、郵便なども含めたさまざまなチャンネルを用意し、それぞれの顧客が望む形でコンタクトできるようにする必要がある。

Webサイトに頼りすぎるな

 加えて、顧客の「声にならない声」をどれだけ集められるかが勝負を決めることにも留意しておきたい。そのためには、コンタクトセンターだけでなく、受注センター、営業部門、マーケティング部門に入ってきた顧客からの声も併せて収集する必要がある。場合によっては、外部の機関を利用して、アンケートや市場調査を行うことで、客観的な声を集める方法もある。

 1つここで留意したいのは、コスト削減や効率を優先し過ぎて、顧客とのすべてのコンタクトをWebサイトに集約させようという考えは捨てた方がいい点である。Webというコンタクト手段を用意しても、必ずその後ろには生身の人がいて、いつでもバックアップできるようにしていなければ、長期的な観点で高い顧客満足度を維持することはできないからだ。

顧客の声に応えるには?

 次に必要な機能は、(2)の顧客の声に応える機能である。この機能を果たすのは主に、オペレーターと呼ばれる人である。エージェント、コミュニケーターなどと呼ばれる場合もある。

 顧客の声に的確に答えるためには、回答を導き出すためのデータベースシステムが必要である。簡単なものでは、FAQをからめたもの、比較的単純な商品データベースから情報を抽出するものがある。一方で、高度なものでは、CRMシステムと言われるようなバックエンドシステムと統合された非常に複雑ものまでさまざまである。

 つまり、データベースシステムの在り方は、企業が扱っている商品やサービスの内容、顧客の種類や数に大きく依存する。一般には、商品やサービスに関する問い合わせ、取引に関する問い合わせ、受発注に関する問い合わせ、顧客の要望や意見に対する回答などに最低限対応できるためのデータベースが必要である。

 また、データベースから効率的に情報を探し出すため検索機能を充実させることもポイントになる。検索機能での留意点の1つは、コンタクトセンターと営業部門との役割分担である。アールエスコンポーネンツでは、「営業部門もコンタクトセンターが果たすべき機能を実行すべき」という考えで役割を定義している。参考として、図2にアールエスコンポーネンツの役割分担とデータベース機能との連携例を挙げておく。

図2
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ