「声にならない声」をあぶり出せコンタクトセンターが企業の顔になる(2/3 ページ)

» 2006年02月27日 09時51分 公開
[杉山正二,ITmedia]

声を記録する

 次に考えるべき機能は、(3)の顧客の声を記録し、記録されたデータを分析し、知見を導き出す機能である。記録のためには、記録用のデータベースを用意すればいい。できれば、CRMシステムのように顧客の声に応える機能と連携させることが望ましい。

 つまり、顧客にひもづく形で声を記録しなければならない。そうしないと、顧客とのやり取りの履歴が分からなくなり、首尾一貫した対応ができなくなるからである。

 同時に考えるべきことは、記録したデータを取り出しやすくするための工夫である。顧客の声を商品やサービスにひも付ける、あるいは、問い合わせや注文、苦情や要望などにカテゴリー分けをしておくことが望ましい。そうしておかないと、後でデータを分析する際に手間が掛かることになる。

 データ分析ができたからといって、分析結果から知見を導き出すことは別問題である。これに関しては、秘けつがあるわけではなく、分析結果から仮説を立て、それに基づいたアクションを実施し、その結果をまた検証するといったPDCAのサイクルを地道に実行することである。

社内へのフィードバック

 最後に備えるべき機能は、(4)の上記で得られた知見を社内にフィードバックする機能である。言い換えると、知見を有効活用して、商品、サービスの向上や社内プロセスを改善することである。

 「顧客の声が重要」という話はよく聞くが、本当に活用できているかを判断することは難しいケースも見られる。また、データの有効活用と言うと、ナレッジマネジメントやテキストマイニングといったツールの話になりがちだが、より重要なことは「情報を利用する目的」を最初に明確にすることである。

 例えば、新商品開発をするために必要なインプット情報としての活用、販売促進活動の効果測定、営業活動の効果測定、受発注プロセスの効率向上など、いろいろな目的がある。したがって、いきなりツールの選定に走るのではなく、まずは、「顧客サービスを向上させるために行うべきこと」をテーマにして、経営陣や管理職が顧客のクレームや要望に耳を傾けることができるような仕組みを構築することから始めるといいだろう。

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