ITで中堅企業のコーポレートガバナンスを強化強い中堅企業のIT化シナリオ(3/3 ページ)

» 2006年03月07日 08時00分 公開
[鍋野敬一郎,ITmedia]
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 日本特有の業務改善手法に「巻紙分析」という手法がある。これは、業務で使用している指示文書や管理文書、業務指図書といったすべての紙を、その業務のはじめから順番に並べて巻紙に貼っていくものだ。貼った紙と紙の間を業務処理内容や目的、管理者といった項目で埋め、全体の業務処理プロセスを可視化していく。

 次に、この巻紙を関係者全員で討議して、ムダを徹底的に洗い出し、巻紙を短くするように見直しを行う。コツは巻紙の長さを3割減らすなどの目標を決めることと、紙の数を減らすことである。紙(入出力帳票)を絞り込むことによって、業務処理の工程を最適化し、業務改善が実現することになる。

 これが完成したら次はシステム化に取り掛かる。新しい巻紙をベースに、可能な限りペーパーレスを狙ってシステム導入を行う。このシステム化は従来の業務処理の機能対応や自動化を目的としたものではなく、純粋に入出力の一元管理と電子化を実現することが狙いとなる。

保険業における紙帳票と電子帳票の一元管理

 中堅企業は大企業に比べてさまざまな制約条件があり、IT化においてもガバナンス強化にも別の視点でアイデアが必要になる。経験と勘を生かして現場を巻き込む手法は、欧米のトップダウンの業務改善やIT導入とは一味違ったものであり、強い中堅企業のIT化シナリオは大手企業の簡易版をあてがうようなものではない。

 次回以降も、中堅企業のIT化というテーマについて、さまざまな角度から具体的なシナリオを考えてみたい。

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