アイログ、最適化エンジン「ILOG CPLEX 10」を発表

アイログは、最適化ソフトウェアの最新版「ILOGCPLEX 10」の提供を同日から開始すると発表した。

» 2006年03月08日 02時38分 公開
[ITmedia]

 アイログは3月7日、最適化ソフトウェアの最新版「ILOGCPLEX 10」の提供を同日から開始すると発表した。ILOG CPLEX 10は、企業が直面する最適化における問題を解決するために、デバッグツール「Conflict Refiner」や、解の選択肢を提供する「Solution Polishing」といった新機能を備えている。

 従来の機能も強化され、複雑な問題解決のパフォーマンスが35パーセントから70パーセント向上したという。これにより、ユーザーは、what-if分析やシナリオ比較に多くの時間を割くことができるようになり、複雑なプランニングやスケジュール作成を高速かつ高精度に処理したいというニーズにこたえることができる。

 今回同社は、最適化モデルを設計および展開するための統合開発環境(IDE)の最新版「ILOG OPL Development Studio 4.2」をリリースすることも同時に発表している。同製品はILOG CPLEX 10をサポートするための機能を強化したことに加え、Conflict Refinerとの連携機能を備え、数理モデルのデバッグ作業を容易にした。

 ILOG CPLEX 10の新機能のうちConflict Refinerは、数理最適化モデルの不正確さを発見するために開発されたデバッグ専用ツール。従来、複雑な混合整数計画(MIP)などのモデルでは、こうした実行不可能なモデルの存在が問題解決の妨げになっていたという。Conflict Refinerを利用することにより、最適化モデルにおける誤りを特定し、モデルの変更から解決までを短時間で行えるようになる。

 また、Solution Polishingは、遺伝学における自然淘汰の考えに基づいたアルゴリズム。解の最善、次善など、可能な範囲内の選択肢を作成する。膨大なデータや何千もの制約条件を満たす解を必要とする業務上の問題においては、難解な数理モデルの解析が不可欠になる。Solution Polishingは、複雑なプランニングやスケジューリングにおいて、従来以上に迅速かつ正確な解を得られるよう支援するという。

 ILOG CPLEX 10はパフォーマンスを向上することで平均して問題解決時間を半減したことが大きな特徴。例えば、サプライチェーンのプランニングなどで効果を発揮し、ユーザー企業の収益改善に貢献すると期待されている。

 生産計画と配送計画を購買者の需要に合わせ、かつ利益を確保しながら、過剰生産も防止するといった複雑な問題解決を行おうとすると、20通りのシナリオを用いた場合に10時間ほど掛かってしまうという。それをILOG CPLEX 10では2時間で解決することができるとしている。

 企業はより多くのシナリオをより短時間で作成する能力を備えることで、あらゆる角度からの評価ができるだけでなく、計画の精度を上げたり、利益創出の機会を増やしたりすることが期待できる。

 ILOG CPLEXの活用領域には、ワークフォースマネジメント、フライトスケジューリング、クルースケジューリング、生産計画、サプライチェーン、製造サイクルスケジュール、在庫管理、配送スケジューリングなどが挙げられる。

 またこうした製造業界や運送業界におけるプランニングやスケジューリングにおける問題のほかにも、投資ポートフォリオ管理、部品調達と資材調達、利益管理、資産管理、通信ネットワーク帯域幅割当などにも利用されている。

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