β版とCTP版は何が違う?――変わるソフトウェアのリリースプロセス(3/3 ページ)

» 2006年03月08日 11時24分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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 だが、βプロセスにはもう1つの目的もある。それは、予定どおりに製品を安定させ、出荷することだ。そして、既にインストール済みの広範なハードウェア/ソフトウェアにおいて製品が適切な動作を確実に行うようにすることだ。

 Microsoftは、全体的な製品クオリティを落とすことなく、また既に遅れがちのスケジュールをさらに遅らせることなく、より頻繁にCTPリリースを作成できるよう、社内、特にWindowsチームのリリースプロセスを見直したとしている。だが、同社はその詳細を明らかにしておらず、まだ謎が多い状態だ。これまで、Windowsほど大きな製品で従来のβプロセスが打ち切られたことはない。しかもWindowsには、サードパーティ製の膨大な数のハードウェア/ソフトウェアで下位互換性を維持しなければならないという負担もある。

 さらにMicrosoftの製品チーム、特にWindowsチームには、同社のTrustworthy Computingイニシアティブにより、セキュリティに関連した追加の作業や配布物も必要とされるため、スケジュールはさらに込み入ったものになっている。

顧客にとっても複雑

 さらに、Microsoft社内でCTPの使用が広まるなか、顧客やパートナーにとっても新たな問題が生じている。CTPをどう管理するかという問題だ。

 CTPリリースを行う以前、Microsoftは比較的少ない数のβ版をリリースし、関連するβ同士が正しく機能するよう留意していた。だがCTPのリリース頻度が高まるにつれ、今では以前より多くのプレリリースが常時出回るようになり、Microsoftはもはや、すべてのCTPリリースについて、それ以前にリリースしたCTPとの間で互換性を持たせることはあきらめている。

 Microsoftは「CTP Madness」と呼ばれるWebサイトを開設し、顧客の支援を図っている。このWebサイトでは、開発者は自分のシステムにインストールされているCTPを把握し、互換性のあるそのほかのCTPを確認できる。

CTP Madnessサイト
 CTP Madnessサイトでは、CTPのリリースを選択すれば、そのCTPと互換性のあるそのほかのCTPのリストを閲覧できる。このサイトはMicrosoftの開発者向けコミュニケーションプログラムChannel 9の一環で運営されている。本例では、2006年1月にリリースされたWinFX CTPは2005年12月のWindows Vistaリリースとは互換性があるが、それ以前のVistaのリリースとは互換性がないことが示されている。


 パートナー各社や顧客はCTPをインストールしたり評価したりする前に、CTP Madnessサイトで互換情報を確認すべきだ。そして、相互干渉のリスクを負わずに複数のCTPを1台のマシンで安全に実行できるよう、デスクトップ仮想化製品(Microsoft Virtual PCかVMware Workstation)を購入すべきだ。

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