「オンデマンドERP」提供に向けて米NetSuiteが日本上陸

NetSuiteは100%子会社の日本法人「ネットスイート」を設立すると発表した。

» 2006年03月08日 17時37分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 北米で高い成長を果たしたオンデマンドソフトウェアベンダーであるNetSuiteは3月8日、都内で記者発表会を行い、100%子会社の日本法人「ネットスイート」を設立すると発表した。オンデマンド型のソフトウェアベンダーとしては、セールスフォースドットコムやシーベルなどに続くことになり、中堅・中小市場を中心にした今後の市場獲得争いが注目される。日本法人社長には、マイクロソフトで役員を務めていた東貴彦氏が就任する。

 来日した同社の社長兼CEOを務めるザック・ネルソン氏は「ソフトウェアサービスが従来の手法よりもカスタマイズが難しいというイメージがあるとすれば間違い。実際はその逆である」と話し、いわゆるASPモデルによるソフトウェアサービスの有効性を話した。

社長兼CEOを務めるザック・ネルソン氏

 一方、日本法人の社長に就任した東氏は、CRM、ERP、e-コマースが1つのアプリケーションとして統合されていることをアピールする。特に「NetSuiteのデータベースは1つであり、データウェアハウスをさまざまな側面から参照できることがNetSuiteの特色」としている。そのため、別々に管理された複数のデータベースを持っているユーザーよりは、1つのデータベースをいろいろな切り口から参照することでメリットを得られる企業が、NetSuiteを導入すると最も効果的としている。

マイクロソフトから1年のブランクを経て社長に就任する東氏

 NetSuiteは具体的に、財務、給与、出荷、購買管理などいわゆるERPの機能を提供する「NetERP」と、営業支援や受注管理、キャンペーン管理などを行う「NetCRM」、Webストアや顧客向けポータルなどe-コマースの機能を提供する「NetCommerce」の3つで構成されている。これを、基本的にはオフサイトですべての導入プロセスを完了できる点が特徴だ。

 また、アプリケーション群を支えるプラットフォームも充実している。プラットフォームは、Webサービスによる柔軟な外部連携を実現する「NetFlex Web Services」、カスタマイズ環境を提供する「NetFlex Customization」、カスタムプログラムやデータベースのテーブル、プロセスの検証、タブ機能などを含めたまったく新しいアプリケーションをNetSuite内に構築できる「NetFlex AppBuilder」で構成されている。

 この日は、NetSuiteの利便性を紹介するデモも行われた。特に「みどころ」として紹介されたのが、役職別のユーザーインタフェースだ。ユーザーは自分の役職別にダッシュボード機能を利用し、高い視認性を持って関連するデータを参照できる。また、KPIに即した形でデータをドリルダウンして確認できることも可能。なお、ダッシュボードはAJAX(Asynchronous Java And XML)に対応している。

 一方で、ASPサービス型のアプリケーションを利用する際にユーザーが気にする点として、「知らない場所にデータを預けなくてはいけないことによるセキュリティ面の不安」「サービスが停止した場合に自社では手の施しようがないこと」が挙げられる。

 これについてネルソン氏は「NetSuiteのユーザーは自社でデータを管理するよりも、NetSuiteに預けた方がずっと安全であることに気付くでしょう。実際にわれわれは99.5%のサービスのサービス保証をしています。これはもし、このサービスタイムが守られなかったら顧客企業に月間のライセンス料金を返金するものです」と話している。同社のデータセンターは、Sunのサーバ、RedHat、Oracleのグリッドコンピューティング環境で構成されており、かなり高い可容性が意識されているという。

 NetSuite日本語版は、まずCRM、CRM+、e-コマースの機能が提供される。その後、2007年の第2四半期にはERP機能が提供される予定だ。

 なお、NetSuiteの利用価格は1ユーザーを含む基本ライセンスが600ドル、追加1ユーザーごとに100ドルとなっている。中小ビジネス向けのNetSuite Small Businessは同105ドルで同50ドルとなっている。なお、CRM機能単体では一律1人当たり95ドル、CRM+は同130ドルとなっている。

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