「Bad Word」となったCRMを復活させたカギは?(1/3 ページ)

「CRMは業界でシニカルな目で見られてきました。CRMという言葉はある意味“Bad Word”となってしまったのです」と話すのは米Salesforce.comのプレジデント、ジョン・フリーランド氏だ。

» 2006年03月13日 13時08分 公開
[聞き手:谷川耕一,ITmedia]

 米Salesforce.comのサービスは、オンデマンドCRMの「Salesforce」、オンデマンドプラットフォームの「AppExchange」、導入支援やトレーニングを行うサーポートサービスの「Successforce」という3つのコンポーネントで構成されている。

 この中のSuccessforceを統括するプレジデント、ジョン・フリーランド氏に話を聞いた。同氏は、26年間にわたる米Accentureでのコンサルタント経験を持ち、2005年に米Salesforce.comに参画した。コンサルタント時代には大規模なCRM案件を数多く手掛けたという。インタビューで同氏は、「サービス開始後に顧客企業の成功をいかにして導き出すか」がほかのソフトウェア企業との差別化のポイントになると話している。

ジョン・フリーランド氏

ITmedia 現在の業務について教えてください。

フリーランド ポストセールス、つまり販売後のすべてのサービス事業の責任者です。コンサルティング、教育、トレーニング、カスタマーサクセス・マネジャーという立場で、Salesforce.comのサービス採用した企業が成功するまでのプロセスをサポートする仕事です。

 さらに、ビジネスアライアンスに対する責任もあります。AppExchangeのパートナーはもちろん、協業するすべてのアライアンス企業をサポートしなくてはなりません。

ITmedia AppExchangeという新たなプラットフォームビジネスが登場しました。今後のサービス事業に何か影響はありますか。

フリーランド AppExchangeの登場は、とてもエキサイティングな出来事です。顧客がオンデマンドのプラットフォームやサービスを使いたいときに、「Beyond CRM」、つまりCRMを超えたアプリケーションを、ソフトウェアではなくサービスとして簡単に提供できるのが特徴です。

 これによりビジネスアプリケーションの領域で、パートナー企業とネットワークが出来つつあります。それが、コアであるCRMサービスをより良くする方向に向かっています。Google、Business Objects、Skypeが、AppExchangeのビジネスパートナーとして名乗りを上げてくれました。オープンなプラットフォームを提供することで、どのパートナー企業もAppExchange上でアプリケーションを簡単に構築できます。それをサポートすることがわたしの重要な仕事です。

ITmedia 一般にCRMにおいて、SFA(営業支援システム)とCTI(Computer Telephony Integration)の分野での成功例を耳にすることは比較的多い気がします。しかし、マーケティングとセールスが連携する全社規模の成功例をあまり聞きません。特に大規模なCRMパッケージを導入するシステムの成功例はほとんど耳にしたことがありません。それについて、どのように考えますか。

フリーランド わたしはAccentureで多くのCRMシステムのコンサルティングを経験してきました。CRMは業界でシニカルな目で見られてきました。CRMという言葉は、ある意味「Bad Word」となってしまったのです。これは、1990年代にベンダーがCRMで何でもできるというような過大な売り込みをしたからです。

 実際には多くの企業が、痛みを伴いながらCRMシステムを開発することを余儀なくされました。また、開発には時間も費用も多大に掛かってしまったのです。そのためか、結局顧客は成功したという実感を持つことができなかった。それが問題なのです。これが、「トラディッショナル」なCRM導入アプローチということになります。

 最近では、CRMを進めるに当たって顧客企業が過大な期待も、過敏な反応もしなくなりました。従来型の方法論に固執するのではなく、ASP形式でサービスとしてビジネスアプリケーションを利用するオンデマンドというアプローチも、選択肢の1つとして考慮するようになったのです。

 初期投資が小さく、導入期間も短いという特徴を持つオンデマンドのメリットが理解され始めているわけです。

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