システム運用管理ツールとしてのOracle Enterprise Manager運用管理ツールで何ができるのか(2/3 ページ)

» 2006年03月18日 00時00分 公開
[ITmedia]

データベースの自動化による管理業務の軽減

 Oracle Database 10g には、自己診断エンジンとオプティマイザなど自動化技術が数多く搭載されている。これにより、データベース自体が自動的に問題点を発見し、簡単にデータベースを健康な状態にすることができるが、それらの機能は、管理者に対する負担を大きく軽減する。

 この機能を生かすために、EM 10gは、簡単にデータベースの自己診断機能を利用できるようになっている。例えば、これまでは管理者が問題のボトルネックを調査したうえで適切な対応をするためには高度なスキルと多くの時間を必要とする作業が必要であった。Oracle Database 10gでは、トラブルの予兆やパフォーマンスの傾向などを、収集した負荷状況から検知し、それらに対するボトルネックの調査が自動的に行われる。このため、調査のための難しい対応は自動化され、問題点はアラートとしてEM 10gのコンソール画面上で簡単に確認できる(画面1)。

画面1 データベースの自己診断による推奨項目の表示

 各問題点には、パフォーマンス結果の詳細がリンクされている。パフォーマンス結果の詳細では、アドバイザの起動ボタンやチューニングのためのアドバイスが表示される。この機能を利用する場合、管理者は表示されたアラートのリストから対処したいアラートを選択し、自己診断機能で分析済みの詳細な情報の確認や診断結果に基づいた適切な処置を会話形式で選択すればよい。

サービスレベル管理によりアプリケーションの品質を向上

 EM 10gの機能で特徴的なものに、サービスレベル管理がある。この機能は「アプリケーションのボトルネック分析を簡単に行い、問題個所に迅速かつ的確に対処することで、サービスの品質を上げる」ためのものである。

 サービスレベルとはサービスの品質そのものであり、例えばサービスの提供時間やシステムのレスポンスタイムなどもそうしたサービスレベルの1つである。現在の企業システムの主流となっているのはWebアプリケーションであり、サーブレット、JSP、EJB、データベースへの問い合わせ処理など、複数の分割された階層で構成されている。このため、Webアプリケーションのパフォーマンスに問題が発生した場合、アプリケーション側からデータベース側まで多くの要素を素早く調査し、問題が発生している個所を特定することは難しく、非常に時間のかかる作業になってしまう。

 サービスレベル管理は、EM 10gが持つデータベース、アプリケーションサーバ、アプリケーション本体、OS、ハードウェア、ネットワークなどに対する監視機能に加え、収集したパフォーマンスの状態やシステムの可用性、問題点の分析から対処までを管理することで、ビジネスに貢献するサービスの品質を確保、あるいは向上させる。

 EM 10gでは、例えば、パフォーマンスが悪化しているアプリケーションがあった場合、アラート機能で管理者に通知される(画面2)。通知されたアプリケーションの詳細にアクセスすると、サーブレット、JSP、EJB、データベースアクセスなど、各構成要素の処理時間の内訳が円グラフで表示され(画面3)、どの処理がボトルネックになっているかすぐに判別できる。さらにドリルダウン操作により、サーブレットや EJB のモジュール単位、あるいはSQL文単位で根本原因を特定することが可能になるなど、すべての操作はマウスのクリックにより行える。

画面2 パフォーマンス劣化の生じたアプリケーションの検出
画面3 EM 10gによるパフォーマンス分析

 チューニングはサービスレベルの向上に大きな効果があるが、アプリケーションの性能情報を取得するためにログファイルを収集し、分析作業を行うなど、スキルと労力を必要とする作業である。EM 10gには、自己診断機能と連携したチューニングアドバイザ機能が用意されている(画面4)。これを利用すれば、ブラウザ上での操作によって簡単かつ的確なチューニング作業ができる。

画面4 SQLチューニングアドバイザによる推奨チューニングの提示

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