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» 2006年03月22日 07時00分 公開

Longhorn Serverを意識したISA Server 2006の控えめな進化 (3/3)

[Peter Pawlak ,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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 2004年当時Microsoftでは、ビジネスツービジネスのWebサービスがそれほど多くないことから、この機能を必要不可欠な機能ではないとしており、将来リリースで高度なWebサービス検査機能を提供する方針を明らかにしている。ただし、ISA Server 2006でもこの機能の提供を見送ったことから、同社は現時点でもこの機能の提供は特に急を要するものではないと考えているようだ。

SIPアプリケーションプロキシの欠如
 SIP(Session Initiation Protocol)は、MicrosoftのLive Communications Server(LCS)2005がインスタントメッセージやプレゼンス情報を他のLCSサーバやCommunicator 2005クライアントと交換するために用いられる。SIPは、インターネットインフラストラクチャで音声や動画、その他のリアルタイム通信の拡大を目指すうえで不可欠な技術だ。ところがISA Server 2006には、SIPベースの音声、動画、ファイル転送、データ会議トラフィックをルートしたり、フィルタするために必要なSIPアプリケーションレベルプロキシコンポーネントがない。Microsoftは、LCS 2005で別途SIPアクセスプロキシを導入しているが(これは、ISA Serverと同じサーバに配置することも別のサーバに配置することも可能)、このアクセスプロキシがサポートするのはプレゼンス情報とインスタントメッセージのみである。Communicatorを使用してISA Server 2006ファイアウォールをまたいだVoIP(Voice-over-IP)、動画、データ会議セッションを確立するには、やはりサードパーティの製品を追加で導入するか、あらかじめVPNセッションを確立する必要がある。ただし、MicrosoftのパートナーであるCollective SoftwareがLCS-Bridge for ISA Serverという製品を開発しており(現在はβ段階)、同製品を使用するとISA Serverがインターネットから受信したあらゆる種類のSIPトラフィックを処理できるようになる。

IPv6サポートの欠如
 Windows XPとWindows Server 2003は既にIPv6をサポートしているが、ISA Server 2006はIPv6をサポートしない。IPv6は大規模なアドレス空間とダイナミックなコンフィギュレーション、その他の先進機能を実現する次世代のインターネットプロトコルだ。ライバルのCheckPointはIPv6ファイアウォールサポートを既に提供しているが、現時点でIPv6をサポートするISPはほとんどいないうえ、IPv6の使用を開始しているユーザーもわずかであることから、MicrosoftはIPv6サポートの提供は特に急を要するものではないと見ている。しかし、企業の中にはIPv6のテストを開始したところもある。特定の市場セグメント、特にIPv4のアドレス不足が深刻なアジアでは、間もなく本格的な需要が見込まれるだろう。

帯域割り当て制御機能の欠如
 ISA Server 2006では管理者が特定のプロトコルに帯域を多く割り当てることはできない。インターネットへの接続が一般的にボトルネックになっていることを考えると、この機能の欠落は、例えばストリーミングメディアの視聴といったカジュアルなインターネット利用が、より重要なビジネス通信を圧迫してしまう可能性さえ生じさせるだろう。また、遅延にあまり影響を受けないトラフィックが、VoIPなどのリアルタイム通信プロトコルを妨害してしまうことも考えられる(ただし、ISA 2004 SP2のリリースにおいて、特定の宛先に対するHTTPトラフィックを他のHTTPトラフィックよりも優先できるようになっている)。

Longhornに伴う大規模な変更は必至

 上記の機能のいくつかについては、Longhorn Serverのリリース(2007年半ばの予定)においてTCP/IPネットワークプロトコルスタックの大規模な変更が予定されていることが、その欠落の最大の理由であると考えられる。Longhornで予定されている変更は、IPv6の完全な統合とサポート、複数のプロセッサの効率的な使用、Winsock Kernel(いずれ現行のTransport Driver Interface APIを置き換えることになる新しいカーネルモードのプログラミングインタフェース)のサポート、オンボードプロセッサが搭載されているネットワークインタフェースカードにプロトコルスタックの処理をオフロードするメカニズムの刷新などである。ISA Serverは基盤となるこのTCP/IPスタックに大きく依存しているため、ISA Serverでも大規模な変更は必至だろう。Microsoftでは、この次のリリースで破棄せざるを得なくなることを見越して、ISA Server 2006では大規模なアーキテクチャの変更を伴う新機能の導入を回避したようだ。

 LonghornのTCP/IPの変更のため、ISA Server 2006ではLonghornとの上位互換性も確保されない見込みである。したがって、ISA Serverの次のリリースが登場するまでは、ファイアウォールサーバをLonghornにアップグレードすることはできないだろう。ただし、Longhorn Serverと同様のTCP/IPスタックの変更が予定されているWindows Vista(2006年末リリース予定)は、ISA Server 2006のクライアントとしてサポートされる見込みだ。MicrosoftはVistaのリリース前に、Vista対応の新しいISA Server 2006用ファイアウォールクライアント(特定のプロトコルおよび認証要件にのみ必要とされるクライアントコンポーネント)をリリースする予定である。

 また、Longhorn Serverと同時またはその後にリリースされるISA Serverには、2006年2月のFutureSoftの買収により獲得したコンテンツフィルタ技術が実装される見込みである。

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