MSが巨費を投じて訴えたいものとは? People-Readyキャンペーンの狙い(2/2 ページ)

» 2006年03月28日 07時00分 公開
[Paul DeGroot,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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 広告の多くは通常、一般的な顧客層をターゲットとしているが、Microsoftによれば、今回のキャンペーンは製造やヘルスケアなど主要な垂直市場にターゲットを据えた初めてのキャンペーンとなる。ある広告では、スーツ姿のマネジャーと販売担当者が作業服を着た工員らとともにジェットエンジンの製造工場に集まっており、また別の広告では、ハイテクの自動車組立ラインが舞台となっている。さらにこのキャンペーンには、企業で個人が果たす役割を強調するMicrosoftと、IBMコンサルタントによって不運な社員が救われるというIBMの「On Demand」広告キャンペーンとの間に、視覚的および感情的な距離を生み出すという狙いもある。Microsoftは、「適切なツールを手にした社員は、より少ないコストでビジネスを前進させ、社員と顧客の満足度の点でより良い結果を出せる」という主張を展開したい考えだ。「適切なツールを手にした社員」という言い方には、現状では、社員はそうしたツールを手にはしていても、まだうまく使いこなせていないか、あるいは最新バージョンではないかもしれないという含意がある。

デスクトップに照準

 今回のキャンペーンは、Microsoftにとって重要なタイミングで展開される。同社は2001年にWindows XPをリリースして以来、過去最長のインターバルを経て、実に丸5年ぶりに、同社の最重要製品であるWindowsクライアントOSの新版Windows Vistaを市場に投入する予定だからだ。

 さらにMicrosoftは同社にとってWindowsに次いで重要な製品であるOfficeの新版を、2000年以来初めて、Windows新版と同時にリリースする。Vistaのリリース時期が定まらなかったり遅延があったりで、OfficeチームはこのWindows新版の特徴を活かした製品を開発することはできなくなったが、それでも、両製品の同時リリースは顧客の注目を集め、企業顧客によるライセンス更新の促進にもつながるだろう。

現場やパートナー企業への影響

 People-Ready Businessキャンペーンの予算の多くは直接、マーケティングと広告に当てられる。Microsoftやパートナー企業が同社製品を市場に投入する方法については、ほとんど変化はないもよう。Microsoftの製品グループは来年にかけて、それぞれのキャンペーンをPeople-Readyメッセージに適合させていく計画だ。

 だが、今回のキャンペーンにおけるパートナー企業の役割はあいまいだ。この広告とその付随テキストでは、コンサルティング(IBMが提供しているサービスなど)を大きな収益源としているパートナー企業には、目に見えるような役割は与えられていない。とはいえ、パートナー企業がのけ者にされるわけではなさそうだ。特に、中規模企業向けのキャンペーンとなればなおさらだ。なぜなら、Microsoftはそうした市場セグメントにおいてパートナー各社に強く依存しているからだ。

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