アートの学生にGNU/Linuxを(2/2 ページ)

» 2006年03月28日 14時33分 公開
[Gurdy-Leete,japan.linux.com]
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技術的問題

 もちろん、技術的な問題がなかったわけではない。しかし、容易に解決できたし、そうでない場合も回避策を見つけるのは簡単だった。Ubuntuフォーラムの技術サポートのお陰である。

 ソフトウェアのインストールにはUbuntuのインストーラーとSynapticパッケージマネジャーを、キャンパスネットワークとの接続にはGNOME Network Settingsツールを利用したが、お陰で作業は容易だった。

 設計上の問題では、ファイル共有の実現方法で思案した。コンピュータ間のファイル共有にはAppleTalkを使っていたのだが、その代替に何を使うべきかが分からず、UbuntuでAppleTalkを動かすべきかと考えたこともあった。しかし、FTPあるいはSSHで十分に代替できることが分かった。KonquerorをGUIとして使い、SSH経由でファイルを転送するのである。使い方は簡単、KonquerorのLocationフィールドにfish://とネットワーク・アドレスを入力するだけだ。KonquerorとOpenSSHのクライアントおよびサーバのインストールもSynapticで容易だった。

 実際にクラスが始まってみると、一部のコンピュータでネットワーク接続がときどき切断されるという不可解な現象が発生した。次の手順で回復は可能だが、少々厄介である。まず、問題のコンピュータ上でNetwork Settingsウインドウを開き、イーサネット接続を無効にし、ウインドウをいったん閉じる。次に、再度Network Settingsウインドウを開き、接続を有効に戻すのだ。そうこうするうちにUbuntuのBreezy Badgerエディションがリリースされたので、インストールした。クラスが始まってから数週間後のことである。週末を使って、学生のデータディレクトリをバックアップし新しいエディションをインストールしたのだが、作業は簡単であった。その際、誰だったかの提案で、ハブがロックアップしないように教室のハブをいったんオフにし再スタートさせた。どちらの作業が利いたのかは分からないが、これ以降ネットワークの問題は発生していない。

 また、Macキーボード上にあるCD/DVDの取り出しボタンが利かず、ほかの方法で取り出すしかなかったのだが、この問題もBreezy Badgerのインストール後は雲散した。

 周辺機器では、長い間使ってきたWacomタブレットをGIMPで使うのに少々厄介な作業が必要だった。すべてのコンピュータについて、xorg.confファイルを手作業で編集してから、GIMPの「Configure Extended Input」ダイアログボックス(File->Preferences->Input Devicesで開く)で設定を変更する必要があるのだ。しかし、これに必要な作業手順は、Ubuntuフォーラムに非常に丁寧に説明されていた。作業後グラフィックスタブレットは何の問題もなく動いており、学生たちはタブレットの圧力センサーを楽々と使いこなしている。

 また、手持ちのスキャナが使えなかった。これはLinuxで使えるUSBスキャナ一覧を調べて発覚したたため、予備機にMac OS Xを残し、スキャナをこのコンピュータに接続することで対処した。画像はここでスキャンし、その画像ファイルをFTPで転送することにしたのだ。100ドルもあれば十分な性能のスキャナを購入できるから、来年度は、LinuxでもMac OS Xでも使えるスキャナを買うつもりである。

 これに対して、これまで使ってきたUSBインクジェットプリンタには対応するLinuxドライバがあった。www.linuxprinting.orgの情報によるものだが、実際に印刷に用いるコンピュータのUSBポートに接続したところ、ほぼ問題なく動作している。

 一方、モノクロとカラーのレーザープリンタはAppleTalkでネットワークに接続している。そのため、ファイルを印刷するには、Mac OS Xのコンピュータに転送してから印刷する必要がある。この方法でうまく動いてはいるが、来年度は、レーザープリンタをUbuntuコンピュータに直接接続するようにしたいと考えている。

将来構想と推奨事項

 フリーソフトウェアへの移行は、ここMaharishi University of Management(アイオワ州フェアフィールド)Department of Art and Designでは大成功だった。今学期は、引き続き、私のビデオのクラスで使うソフトウェアAvid DV ExpressとFinal Cut Express HDとSoundtrackとiDVDをKinoCinelerraRosegardenDVDstylerに切り替えようと計画している。

 さらに、来年度は、MayaをBlenderに切り替えるつもりだ。おそらく、FlashもSynfigOpenLaszloKtoonの何らかの組み合わせになるだろう。

 もし同様のソフトウェアの切り替えを考えているのなら、その方向で進むようお勧めしたい。ただし、必要に照らして最も適切なディストリビューションを選び、アプリケーションは慎重に選ぶこと。

 GNU/Linuxを使わないクラスとコンピュータを共用する必要がある場合は、WindowsあるいはMac OS Xとデュアルブートできる形でGNU/Linuxをインストールすべきだ。Mac版Ubuntuの場合、それが簡単にできることは私が実証済みである。

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