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» 2006年03月29日 12時44分 公開

欧州でも課題のレガシーマイグレーションを支えたルール管理システム――ING銀行

欧米を中心にビジネスルール管理システム(BRMS)の注目度が上がっている。オランダに本拠を置くING銀行のベルギー支店であるING BelgiumでもBRMSによるメインフレームからオープン系システムへの移行が試みられた。

[怒賀新也,ITmedia]

 欧米を中心にビジネスルール管理システム(BRMS)の注目度が上がっていることを前回紹介した。その際にも触れたが、日本企業が「2007年問題」を抱えているのと同様に、欧米企業でも今も多数のメインフレームが稼働しており、SOAの導入目的としてもいわゆるレガシーマイグレーションが中心になっている。

 オランダに本拠を置くING銀行のベルギー支店であるING Belgiumでも、メインフレームからオープン系システムへの移行を試み、その際にILOGのBRMBSであるJRulesの導入に踏み切った。そのプロジェクトを支えた、アプリケーションリテールバンキング ベルギー支部 当座預金および貯蓄部門担当のマリオ・デノーム氏に話を聞いた。

ING銀行ベルギー支店のマリオ・デノーム氏

 世界50カ国でのビジネス展開、6000万人の顧客、11万3000人の従業員という規模を誇る同社。銀行、保険、資産管理の各業務を「Click」(インターネット)、「Call」(電話)、「Face」(対面)の3つのチャネルを通じて展開している。当座預金は150万口座、貯蓄預金も150万口座、デビットカード180万口座、クレジットカード400万口座という規模を誇る同社では、1日に200万件の預金に関する処理があり、預金口座の変動も2万件あった。

かつての状況

 同社では、1990年代に構築されたCOBOLベースのアプリケーションをUnisys製のメインフレーム上で稼働していた。同システムでは、価格に関するルールがプログラムにハードコードされていたため、メンテナンスが難しかったという。また、新たな施策を打った場合に、システム側の対応に非常に時間が掛かっていた。つまり、タイム・ツー・マーケットが非常に遅かったわけだ。

 また、価格設定は複数のアプリケーションで管理されていたり、一部の顧客の価格設定は手作業で管理されていたりしていたため、業務として価格設定のルールを俯瞰することも不可能であった。さらに、バッチプログラムがベースになっていたため、パフォーマンスにも問題があったという。

新システムの構築

 そこで、同社はレガシーシステムの刷新を図ることになった。

 主な要件としては、ワールドワイドで定めているINGグループの標準と同期が取れたシステムにすることだった。

 INGでは、インフラ構築において、ベンダーとしてはSunおよびOracle、テクノロジーとしては、JavaやWebサービスを採用しており、具体的に「IFSA(ING Financial Services)」というサービスバスを持っていた。ここで、サービスとはビジネス情報の塊のことを意味し、サービスバスであるIFSAを介しながら、サービスを疎結合の状態で組み合わせてシステムを構築する。

 これによって、タイム・ツー・マーケットを短くすることが最大の目的だ。同社の業務担当者は自社商品の価格戦略を自由に管理したいと考えており、それを実現するために、ビジネス分析を徹底的に行ってITとビジネスを融合していった。

 このように、サービスを組み合わせたシステムを構築する上で、ビジネスルール管理の部分を担うサービスとして同社が選択したのが、ILOGのBRMSであるJRulesというわけだ。

 同社においてJRulesは、「ターゲット(顧客グループ)」「処理ごとの価格設定」「顧客のプロフィールや行動に合わせた再々保険(Retrocession)」の3つの要素だった。なお、Retrocessionとは再保険を引き受けた保険会社が、危険分散などのために引き受けた責任の一部または全部をほかの保険会社に転嫁することを指す。

 具体的なルールとしては例えば、次のようなものが設定されている。

 If counter(manual operations)< 36

 Then 0(Euro)

 Else 0.25

 これは、顧客とのやり取りにおいて、「もし手作業が36より少なければ0ユーロ、そうでなければ0.25ユーロの手数料を適用する」というもの。こうした設定をアプリケーションにハードコードせずに分離できることにより、戦略的な施策が可能になるわけだ。

 全体を通じたJRules導入の効果についてデノーム氏は、「ビジネスモデルとビジネスルールを分離できたこと」「ビジネス施策を市場に適用するまでにかかる時間(タイム・ツー・マーケット)が小さくなった」「新たなテクノロジー(J2EE)の恩恵を受けられた」などと話している。

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