アイログ、大幅に機能強化したBRMSの最新版を発表

ILOGは、BRMS(ビジネスルール管理システム)ソフトウェアの最新版「ILOG JRules 6」を発表した。

» 2006年03月27日 08時54分 公開
[ITmedia]

 フランスのILOGは、BRMS(ビジネスルール管理システム)ソフトウェアの最新版「ILOG JRules 6」を発表した。同製品により、企業がビジネスを展開する際のルールを、IT部門に頼らずにビジネスユーザーがより簡単に定義できるようになる。ビジネスとITの統合をさらに進めるITツールとして、特に欧米での注目度が高い。

 ビジネスルール管理システムとは、ルール設定、変更、操作、管理を包括的に提供することにより、企業の業務プロセスを効率化するシステムと定義される。例えば携帯電話のキャリアの場合、「3年以上利用しているユーザーの場合、基本料を10%割り引く」などがビジネスルールである。

 新機能には、ライフサイクル全体にわたるビジネスルール管理、オンデマンドによる業務遂行部門とIT部門間のルールの同期化、業務ユーザー専用の使いやすいルールの承認環境などが含まれている。そのほか、約50の新機能、従来バージョンと比較して20倍以上のパフォーマンスが実現している。

 一般に、ビジネスルールはアプリケーション内にハードコードされている。そのため、ビジネス要件の変更のたびに、アプリケーションを再構成し、テストしなくてはならない。ルール変更の影響範囲も正確に把握することは難しい。そのため、システム全体の俊敏性が低下し、コストが増大、ビジネスチャンスの喪失といった事態も招いてしまう。

 そこで、BRMSを利用することにより、企業はアプリケーションとビジネスルールを切り離してシステムを構築することができるようになる。結果として、ユーザー企業はBRMSでビジネスルールを変更しても、それに伴ってアプリケーションに触れる必要がなく、メンテナンスに掛かる手間を減らすことができる。

 そうしたメリットに注目が集まった結果、BRMSは、今後のシステム構築手法のカギとなるSOA(サービス指向アーキテクチャー)や BPM(ビジネスプロセス管理)などにおける基盤技術として注目を浴びるようになってきている。実際に導入メリットが大きいため、欧米での普及率が上がってきているという。

 調査会社のForrester Researchは1月に、ビジネスルールプラットフォーム専門の報告書「Forrester Wave on Business Rule Platforms」の第1号を発表。「ビジネスルールプラットフォームベンダーの多くが高い成長を見せており、ユーザー企業の関心が高まっている」と指摘している。

 今回リリースされたILOG JRules 6には、さまざまな新しい機能が盛り込まれた。

RuleCare

 1つがRuleCare(業務ユーザー支援ツール)。これは、ビジネスルール管理を支援するもの。ビジネス部門専用のWebインタフェースとIT部門との同期が可能なルールの編集環境を提供している。ビジネスユーザーは解説付きのルールビルダー、ルール作成用テンプレート、オンラインヘルプを使って、「ビジネスルール管理」を素早く理解することが可能になる。また、シナリオ分析も容易になる。ビジネスポリシーを変更した場合の効果を事前に評価するためのテスト/シミュレーションツール、再利用可能なビジネスシナリオの作成と保存、さらにビジネスルールを比較適用するツールが装備されたことにより、「what-if分析」によるシナリオの仮説検証が可能だ。

RuleTech

 また、2つ目は、RuleTech(開発支援ツール)だ。RuleTechの特徴の1つが、Eclipse 対応の統合開発環境(IDE)をすべてサポートしていること。IT部門や開発者がコード開発をする際に、ベストプラクティスや最適なプロセスを活用し、ルール適用を行えるようにツールを提供する。同機能は、Eclipse 対応の統合開発環境(IDE)をすべてサポートしているため、開発者は共通のIDEやソースコード管理リポジトリに合わせてソースコードとルールを管理することが可能になる。

 これにより、開発する際に、開発環境の異なる複数のツールを使う必要がないため、開発期間の短縮を図ることができる。

 さらに、SOA環境をサポートしている点も大きな特徴となっている。SOA環境におけるルール実行もサポートしているため、ルールやルール群をSOAにおける「デシジョンサービス」として、新たなに構築するコンポジットアプリケーションの1つの機能として実装することが可能になる。

 また、ランタイムセキュリティ機能、ログ管理機能、オーディット機能に対応しているため、SOAによって構築したアプリケーションの稼働を監視する際にも役立つ。

FullCircle BRM

 3つ目は、ライフサイクル全体にわたって企業のビジネスルール管理を可能にするツールならびに手法を提供するFullCircle BRM。業務ユーザーと開発の環境を同期し、アプリケーション開発サイクルとは独立したビジネスルール管理サイクルを実現するもの。この機能により、複数のリリースサイクルで同時に作業ができ、職種や言語の異なるルール作成者の間でルールを共有し、再利用することも可能になる。

 同社は、Gartner Dataquestが2004年ビジネスルールエンジンソフトウェアの世界市場のリーダーと位置付けたとしてアピールしており、今回の新製品により、拡大するビジネスルール管理システム市場でのポジションを確立したい考えだ。

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