競合ブラウザからシェア奪還に動くInternet Explorer 7の実力は?(3/3 ページ)

» 2006年04月04日 07時00分 公開
[Matt Rosoff,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版
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IE7フィッシングフィルタ
Internet Explorer 7(IE7)は、"フィッシング"サイトの可能性があるとユーザーに警告する。フィッシングサイトとは、信頼できるサイト(銀行サイト)を模倣してユーザーをだまし、犯罪に利用されやすい個人情報(クレジットカード番号や銀行口座番号)を入力させて盗み取ることを目的とするサイトだ。この図のフォームは、オンラインバンキングサイトの入力欄に見えるが、IE7はトップレベルのドメインが伝統的なドメイン名ではなく、単なるIPアドレスであることを検出し、ユーザーにこのサイトでデータを入力しないよう警告を発している。


すべてのウインドウにアドレスバー
 IE7のウインドウは、ポップアップウインドウも含め、すべてアドレスバーを持つ。そのため、リダイレクトやミスディレクションを偽装することが難しい。例えば、ユーザーの信頼するサイトが、アドウェアなどで特に必要でもないポップアップ広告を表示したとしよう。ポップアップ広告にアドレスバーがあれば、ユーザーはそれが信頼できるサイトか広告主のサイトか、すぐに判別することが可能だ。アドレスバーはまた、OSメッセージに似せたポップアップウインドウを表示して、ユーザーに悪意のあるソフトウェアをインストールさせるトリックも無効にする。例えば、ユーザーのシステムがスパイウェアに感染したので、システムを"クリーン"にするためにアンチスパイウェアソフトをダウンロードするよう指示して、実際にはスパイウェアをインストールさせるようなウインドウだ。

各種設定
 IE7のインフォメーションバーは、ユーザーがIEを危険なコンフィギュレーション、例えば未署名のActiveXコントロールを自動的にダウンロードするような設定に変更しようとすると警告する。ユーザーはボタン1つで、IEをデフォルトの"中高"レベルのセキュリティ設定に戻すことが可能だ。

ユーザー向け機能強化

 セキュリティ面での強化に加え、IE7には競合ブラウザに劣らないさまざまなユーザー機能が搭載される。

タブブラウジング
 他のブラウザでは従来から利用可能だったが、IEでは2005年夏、MSNサーチツールバーで初めてタブブラウジングが提供された。タブブラウジングは同一のブラウザウインドウ内に複数のWebページをタブ形式で表示し、同時に開いたそれらWebページを簡単に行き来できる機能だ。ユーザーは"ホーム"アイコンをクリックすれば、複数のページを同時にオープンするように設定できる。お気に入りメニューで関連するページを機能別("ニュース"や"旅行"など)にグループ化しておけば、それらのページをすべて同時にオープンすることが可能だ。IE7はまた、他のブラウザにはない機能も用意している。それはQuick Tabsと呼ばれるもので、オープンしたすべてのタブをサムネイル表示する機能だ。

シンジケーションサポート
 RSSやAtomを利用すれば、Webサイトは定期的にXMLファイルで最新のコンテンツ情報を発行(あるいはフィード)することができる。ブログやニュースサイトなどでは広く利用されている機能だが、ほとんどの競合ブラウザと同様、IE7でもユーザーはWebページのアイコンをクリックするだけで、RSSやAtomフィードをサブスクライブできる。これらのフィードはお気に入りフォルダに個別のセクションとして表示され、他のサイトと同じようにアクセスすることが可能だ。

 Vista上では、IE7は共通フィードストアも活用する。これはすべてのアプリケーションがフィードの共通セットを利用できる機能だ。例えば、ユーザーがIEでフィードをサブスクライブすると、Outlookからも同じフィードにアクセスすることができる。

CSS 2.1のサポートとバグ修正
 WWWコンソーシアム(W3C)規格のCSSにより、Web開発者はWebサイトの背景やフォントスタイル、共通ナビゲーションツールといった表示特性をページのコンテンツから切り離すことができる。ページごとにスタイルエレメントを記述する必要がなくなるため、Webサイト全体でコンテンツのスタイルを統一するための手法として、ますますポピュラーになりつつある。IE7では最も新しいCSS 2.1を(完全とはいえないものの)サポートし、従来のバージョンにあったCSS関連のバグをいくつか解消している。例えば、これまで特定のタイプのテキストエレメントは、ユーザーがページを再読み込みしたり、下までスクロールしないと表示されないといったバグ(Peekaboo)があった。

 IE7はまた、透過アルファチャネルPNGをサポートする。このテクニックは、AJAXアプリケーションで一般的なグラフィックスのシェーディングや透明度の階調を作るのに用いられる。

インタフェースの変更
 IE7では、ユーザーの手間を省き、生産性を改善する次のようなインタフェースの変更が行われた。

  • お気に入りはブラウザペインにリストされ、フォルダダイアログボックスをオープンする必要がなく、修正や変更が容易にできる。
  • IE7のインタフェースにはWeb検索ボックスがビルトインされる。デフォルトはMSNサーチだが、ユーザーは他の検索エンジンへ比較的簡単に変更できる。また、OpenSearch 1.1(アマゾンのA9部門が開発し、Creative Commonsライセンスで提供)をサポートし、ブラウザに複数の検索エンジンをプラグインすることが可能だ。
  • ページズーム
  • 印刷素材の拡大縮小、最適サイズ印刷、フッタの除去(IEのプリントアウトは下部にURLが必ず印刷された)など、印刷制御が強化される。
  • クッキーや履歴などのプライベートな情報をボタン1つで消去できる。

 IE7 β2 Previewは、Windows XP SP2向けに無料で提供される。また、Windows Vistaのプレリリースビルトにも今後、IEの最新バージョンが搭載される。

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