「ベンダーの囲い込みと異常なカスタマイズがコスト格差の原因」――総務省激変! 地方自治体の現実(2/3 ページ)

» 2006年04月06日 14時35分 公開
[丸山隆平,ITmedia]

共同アウトソーシング推進のモデル

ITmedia  EAの持つ意味は?

牧 EAとは、組織全体を通じた業務の最適化を図る設計手法で、自治体EAでは、業務とシステムの現状とあるべき姿をモデリングにより整理し、縦割りをなくした全庁的な情報共有を図る。

 EAという全体最適の観点から業務やシステムを改善するための仕組みを活用することで、「低廉で効率的な、セキュリティ水準の高い電子自治体の実現」「特定ベンダーの囲い込みを未然に防止することによる調達コストの削減」「業務プロセスやデータ体系の可視化、システムのモジュール化による地場IT企業の参入」――などが期待され、地方自治体業務の標準化・効率化を図るだけでなく、地域におけるIT産業の振興にも役立つと考えられる。

ITmedia データ標準化について説明してください。

牧 各自治体がそれぞれのシステムを運用していたときはデータの扱いがバラバラでも仕方なかったが、今後、自治体間で横の連携を図り業務を効率化するためには、Web方式のXMLでデータを標準化する意味は大きい。これと併せて業務プロセスの見直しが必要だ。特に共同アウトソーシングを進めるときには、ハウジングを1つにするだけでなく、細かい業務の差異を解消して共同化を進めるため、業務の標準化が必要だ。さらに、共同アウトソーシングセンター間でアプリケーションを共同で保有する効果も大きいが、そのためには全国的な視点に立ち、全体最適の参照モデルが必要になる。それがEAで、国内の主要ベンダーがコンソーシアムで参加し、川口、北九州、奥州市(旧水沢市)の3自治体の業務のあり方を分析・整理し、それに添った形で取り組みを進めた。

ITmedia この3市はIT化の取り組みが進んでいるのですか?

牧 EAの一番上の部分に相当するビジネスアーキテクチャーは、コンピュータの専門家の世界ではない。要は自治体の業務のあり方をどうするかであって、自治体の職員が全員参加で組織の縦割り構造を越え、一気通貫で取り組むべき問題だ。今回の自治体EAでは従来は紙や口頭で行っていた業務を含め、地方自治体における行政改革の視点を取り入れている。その点で、3市は進んでいると言える。費用をかけて最先端というのでなく、業務改革とシステム改革を一体化して進めようという意欲の高い3自治体に協力いただいた。

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