Vistaをフルに動かせる現行PCは何割?(2/2 ページ)

» 2006年04月10日 17時19分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK
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 MicrosoftがいまだにVistaの最終要件を発表していないため、どのグラフィックスプロセッサとPCチップセット(PC内のI/Oといった機能を処理するもの)ならびにオンボードグラフィックスでならVistaの全機能を使えるのかを推量することは難しい。

 Microsoft広報は電子メールでeWEEKに次のようにコメントした。「当社では、まだWindows Vistaの最低ハードウェア要件を最終決定していない。しかしながら、「Windows Vista capable PC」がVistaをインストール/動作でき、快適なカスタマー体験を提供すると確信している」

 Gartnerは報告書の中で、ATI TechnologiesやNVIDIAなどの主要グラフィックスチップメーカーが最近提案しているデスクトップPC/ノートPC用の独立型ソリューションはすべて、Aeroをサポートできるだろうと述べている。

 しかしほとんどの法人デスクトップとコンシューマーPCで現在採用されているのは、グラフィックスコアを内蔵した統合型チップセットだ。これは外付けグラフィックスチップよりも1世代以上前のもので、同じような性能は発揮しない。

 継続的にIntelベースのPCのみを採用している企業に焦点を当てた今回の報告書の中でGartnerは、Intelの最新のデスクトップ用チップセット「945G」とモバイル用チップセット「945GM」を標準採用するよう推奨している。

 ミッドレンジからハイエンドPCとノートPC向けに提供されているこれらチップセットは、十分な容量と適切なタイプのメモリが装備されれば、WDDMドライブとAeroの両方をサポートできるだろうとGartnerは説明している。

 同社は法人バイヤーに対し、デスクトップPCについては945Gチップセット、Pentium 4プロセッサ、1GバイトRAMを、ノートPCに関してはCore Duoプロセッサ、945GMチップセット、1GバイトRAMを最低要件として推奨している。

 さらに高いパフォーマンスを追求するテクノロジー指向の企業に対しては、特にノートPCに関して、2GバイトRAMと外付けグラフィックスチップの採用を検討するようGartnerは提案している。

 Gartnerはこの報告書でAMDプロセッサシステムへの提案を行わなかったが、その理由は、まだ大半の企業でAMDプロセッサシステムが導入されていないためと説明している。ATI、NVIDIA、VIA Technologiesなどでは、グラフィックス機能搭載/非搭載のAMD対応チップセットを手掛けている。

 同じ原理がそれぞれのハードウェアにあてはまるだろう。例えばATIは同社のRadeon XPress 200でAeroを動作させることができるはずだとしている。同チップセットはコンシューマー向けデスクトップPCとノートPCで人気が高く、また最近では企業向けデスクトップでも採用されている。

 それでもなお、「Windows Vistaの新たなグラフィックスモデルにおける最重要部分はあくまでも安定性と全体的なパフォーマンスの強化であり、華々しい3Dルック&フィールではない」とGartnerは報告書で強調している。

 「(コンテンツクリエーター、グラフィックスのプロフェッショナル、エンジニアなど)仕事でよりリッチなグラフィックス体験を必要とするユーザーだけが、Aeroの視覚的側面のメリットを享受するだろう」(Gartner)

 これまで多くのアナリストらが指摘しているように、Vistaは(法人ユーザーよりも)まずコンシューマーに多大な影響を与えるだろう。Vistaは今後1年間ITマネジャーのPC調達方法に影響を与えそうではあるものの、その期間に導入されたすべてのPCにVistaがインストールされるとは限らないからだ。

 大半の企業は少なくとも18カ月はVistaへのアップグレードを行わない予定で、これはつまり2006年に多くの企業が使用しているPCは、そのライフサイクルの半分あるいはそれ以上を経過しているということであり、これらを無理にアップグレードする価値はないだろう、とGartnerのアナリスト、レスリー・フィアリング氏は述べている。

 ただし同氏はeWEEKの取材で次のように語った。「Vistaに対応させるために多くの努力を費やす必要がないのだから、Vistaを導入しない理由はない。しかし、特別な対策を講じなければならないと声高に叫ぶベンダーに惑わされたり、その犠牲になることはない」

 例えば自分たちのニーズに合った適切な統合型グラフィックスチップセットを選ぶことで、企業はマシンに独立型グラフィックスチップを付加するコストを掛けずに済むことになる。

 「業界内には、現行レベルの統合型グラフィックスは(Vistaの)ユーザーインタフェース体験をフルサポートするとのコンセンサスがある」とフィアリング氏。

 「独立型グラフィックスを購入するメリットはたくさんある。わたしたちはただ、Vistaに対応するために予算を使い切ったり、購入習慣を変えたり、あるいは余計なコストを背負い込む必要はないと言っているだけだ」(同氏)

 最終的に、ハードウェアを選択するうえでの不明点のほとんどは時間が解決してくれるだろう。

 少なくとも、Microsoftは自社のスタンスを明確にするだろう。ハードウェアも強化される。ATI、Intel、NVIDIA、VIAの各社はさらにパワフルな製品をリリースしてくるだろう。Intelの場合、強化型グラフィックスプロセッサを内蔵した新しい965チップセットを提供する。同チップセットは今年デスクトップPCに搭載され、2007年にはノートPCで採用される。

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