Vistaをフルに動かせる現行PCは何割?(1/2 ページ)

MicrosoftはVistaに対応するPCの最低限の要件は示しているが、Gartnerの報告書によると、Vistaが本領を発揮できるのは現行PCの半分にすぎないという。

» 2006年04月10日 17時19分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 米MicrosoftのWindows Vistaは今日提供されているほぼすべてのPC上で動作するが、Vistaが本領を発揮できるのはこのうち約半分だけ――米調査会社Gartnerが新たな報告書で述べている。

 今日の主流プロセッサとHDDは、この新OS――現在リリース予定は法人向けが11月、コンシューマー向けが2007年1月となっている――に対応し得る高いパフォーマンスと容量を持っているが、ITマネジャーや企業ユーザー、またPCを購入する予定のコンシューマーは、最低1Gバイトのメモリを準備するよう留意するとともに、Vistaの先進ユーザーインタフェースAeroを利用するには先進的なグラフィックスプロセッサが必要になる、とGartnerは語っている。

 Microsoftは自社サイトでVistaに関する基本的なガイドラインを掲載しており、例えばVistaの動作要件として最低512MバイトRAMおよび高性能のプロセッサを推奨している。

 さらにコンシューマー向けに、Vistaにアップグレード可能なPCを明示する「Windows Vista Capable」プログラムを4月から展開し始めている。ただし同社は、Aeroインタフェースをフルに動作させるための詳しいハードウェア要件などを最終決定していない。

 こうした情報不足から、ITマネジャーとPC愛好者やコンシューマーは、これから2007年にかけて購入する新マシンの最良の要件に関して頭を悩ませている。そこでGartnerは幾つかのガイドラインを提示した。

 「ほとんどの企業ではPCを3〜5年間使用することから、当社では主流ノートPCユーザーには3年、主流デスクトップPCには4年という期間を推奨している。2006年に購入したPCの場合、Windows Vistaが出荷されてだいぶ経っても現役で使われていることになる」と、Gartnerは3月28日付の「Is Your PC Hardware 'Ready for Windows Vista?'」(あなたのPCハードウェアでWindows Vistaを使えるか?)と題された報告書で述べている。

 「今日市場にあるほぼすべてのPCでWindows Vistaは動くだろうが、その約半数は先進的なWindows Aeroのユーザー体験を完全には提供できないと推定する。従って、ハードウェアの設定には気を付けて適切に行うべきである」

 「この重要性はユーザーによって異なる。2006年に購入するPCをVistaにアップグレードする計画の企業、あるいはそうした選択肢を残したい企業は、後の移行コストを低く抑えるためにも適切なPCを購入する必要がある」(同報告書)

 従って、Vistaならびにその機能すべてをフルに動作させたい場合、ITマネジャーもコンシューマーも、新しいPCを発注する前に少なくとも2006年中に十分検討を重ねるべきだ。たとえリリースと同時にVistaへアップグレードする予定ではなくてもだ。

 実際、ほとんどの企業はVistaへのアップグレードを1年以上待つだろう、と複数の上級レベルのITマネジャーはeWEEKに最近語った。

 米メリーランド州ベセスダにある米国立筋骨格皮膚疾患研究所(National Institute of Musculoskeletal and Skin Diseases)のロバート・ローゼン氏は最近のインタビューで「わたしたちは特にグラフィックス要件が高くなることを懸念しており、現在使用しているハードウェアでVistaがシステムを停止させることがないよう徹底したテストを行う必要がある」と語った。

 Microsoftは現在最低512Mバイトのメモリを推奨しているが、Vistaのフル機能を使用するためには少なくとも1Gバイトのデュアルチャネルメモリ、場合によってはそれ以上が必要になるだろう、とGartnerは報告書で述べている。

 「新PCでVistaを動かすには最低1GバイトRAMが必要だ。アップグレード期間中、1台のPC上で旧OSとVistaを同時に動作させるために仮想化を実現する場合は、さらに512MバイトRAMを追加する必要がある」(同報告書)

 適切なグラフィックス環境を選択するためには、最も高度な計画性が必要とされる。

 Vistaの最も基本的なユーザーインタフェースは、最近リリースされたほぼすべてのPC上で動作可能とされており、スタートメニューとタスクバーに再設計が施され、コントロールパネルや検索などの機能が強化されている。

 先進インタフェースであるWindows Aeroでは透明なタスクバーとウィンドウフレームが提供され、リアルタイムのサムネイルプレビューなどが付加される。目に見えない部分では、PCの安定性を高めるWDDM(Windows Display Driver Model)も採用される。

 これら新しい機能では今まで以上のグラフィックス性能が求められ、比較的最新のものを除く大半のグラフィックスプロセッサは対応していない。実際、Vistaのハードウェア要件については、Aeroを使いたい場合、WDDMのみならずAeroのフル能力を体験できるグラフィックスプロセッサはどれかを推測する動きも出ている。Gartnerは、この要件を満たしていないメーカーもあると指摘している。

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